覇王IF
語り部が見たかった世界
少年は言った。
「ボクはまだ戦い続ける。君も新たな戦いが始まるだろう。
約束するよ。また君に会いに来る。
新たな栄誉を手にしてね。」
ソレは言った。
「楽しみにしているよ。
でもなるべく早くしてくれよ?」
少年はその後、新たな一対として戦いに臨んだ。
勝てなかった。
惜しかった。
もうちょっと・・・。
大敗だ。
怪我をした。
ただひたすらに困難に立ち向かい、茨の道を突き進んだ。
また負けた。
また敗けた。
それでも前を向いていた。
あの日、あげることのできなかった視線を、ただひたすらに前にした。
そして、やっと新たな栄誉を手に入れた。
覇王として戦い、初めて敗けたあの戦い。
あの日と同じ日付で、同じ場所で、あの時より少しだけ成長した形で、
少年は勝鬨を挙げた。
少年はある場所を訪れる。
扉をくぐると、中には誰もいなかった。
少年は周囲を探る。
そこには誰もいなかった。
不思議に思うその少年の背後から、高らかに声が響いてくる。
「やぁ。やっと来たのかい?待ちくたびれたよ」
なぜだろうか。
少年の目に涙があふれる。
声が出ない。
振り向けない。
身体が全然動かない。
「何をしているんだい?こっちに来なよ?そして大いに語り合おう。話したいことがたくさんあるんだ」
少年はそれに駆け寄った。
17年の時が経て、一対の物語は完結した。