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金魚に恋した。

作者: 櫻井入文

 少しでも楽しんで頂ければ幸いです。

 青空にくるりと丸い目の赤と白の金魚が泳ぐ。

 その姿の可愛らしさと優雅さに子供心に夢中になった。


 触りたくて手を伸ばすものの、子供の身長では無理な話で。それでも諦めずにぴょんぴょん跳ね回っていると、後ろから笑い声が聞こえてきた。


 途端に恥ずかしくなり、跳ぶのをやめて振り返る。


 こちらにも可愛らしい金魚がいた。


「な、なんだよ」


 白地に朱金が泳ぐ浴衣を着た少女の赤い帯が余りにも鮮やかで言葉に詰まる。


「こっち。触れる金魚がいるよ」


 言って彼女は、なんの躊躇いもなく俺の手を引いて走り出した。


 あれから五年。小六になった俺は、久し振りに両親と里帰りした。


 丁度、金魚まつりの時期で街には沢山の金魚が飾られている。小さかった頃は輝いて見えたそれも、ちょっとだけ大人になった俺には……やっぱり、カワイイ。軒の下に飾られたそれを眺めていたら、再び背後から笑い声が聞こえてきた。


 ハッとして振り返る。


 頭の天辺近くでキュッと丸めたお団子に、赤い金魚の飾りが揺れる簪がぶっ刺さってる女の子が居た。


 紺の浴衣に波紋を描き赤い金魚が泳いでいる。黄色の帯が目立って綺麗だった。


「あっちに大きい金魚がいるよ。見に行く?」


 五年分、大きくなった彼女は躊躇いなく俺の手を引いて歩き出した。



 スキップするみたいに、五年毎に里帰りをする。両親的には、五年位が丁度よい間隔なんだそうだ。


 俺も親について里帰りする。


 べ、別に彼女に逢いたかったわけじゃないからね!

 そりゃ、ちょっとは期待したけど。


「あ、そうそう。洸星(こうせい)、河井さんトコの娘さん結婚したそうよ」

「は? 誰それ」

「お前が迷子にならないように、一緒に居てくれただろ」


 それが金魚の浴衣の子だと合点がいくと、その後の両親の話は頭に入ってこなかった。



 金魚は泳ぐ。


 青い、青い空を。



「夜になると灯りがついてキレイだよ」


 ぼんやりと川沿いに群れをなす金魚を見つけて眺めていたら声を掛けられた。


 薄い水色に青い金魚が泳ぐ。大人になってしまったのだと思った。


「結婚おめでとうございます」


 言うと不思議そうな顔で首を傾けられる。


「結婚したって……親が」

「ああ!」


 意味が分かったのか、途端に笑顔になった。


 ツライ。


「おねーちゃんがね!」

「え」

「おねーちゃん」

「マジか」

「何が?」

「何でも無い」


 終わったと思ったら、終わってなかった。


「ねぇ、名前教えて」

「はぁ? そこから?!」


 彼女の名前は、冴輝(さき)ちゃんと言うらしい。


 これは、大きな前進である。

 お時間いただき有難うございました。


 今回、1000文字に納める大変さを知りました。

 いい勉強になったと思います。


 ヒロインの名前、最後まで出ないかと焦ったり笑

 文字数に四苦八苦しながらでしたが、楽しかったです。

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