同じ立場
たしかにあの書類をだし、自分と上司の立ち位置がおなじだとわかったのはうれしくもあったが、あの書類は、保護観察処分になったジェニファーに会えるのが警察官だけだから、警備官どもにうまく《つかわれ》ただけだ。
ジャスティンとしては、『しかたなく』提出した書類だった。
なのに、『待って』いた?
―― 怖いものみたさ?いや、おれはそういうの得意じゃねえし・・・
《マーク》になったケンと彼女に会いにいったのが、はるか昔のように感じられる。
あのときのジェニファーの『呪い』の話しが何度も頭の中で繰り返されている。
彼女はまさしく『魔女』だったし、ジャスティンはあの若い女を怖いとさえ思った。
だが、きのうまた会ったワクナという女に比べると、その『魔女』ぶりはなんだか違う種類のものに思えてきた。
ジェニファーの『魔女』ぶりは、きのうの女のようにそこにいるだけで発散される『異様』さとは違い、『異様』なものになろうと必死になっているかのような印象だ。
あのとき彼女はなんて言った?録音をとめろ、と。
なぜなら、そうだ。
『あなたたちも、わたしも、ひどいめにあうわ』
たしかにそう言った。
あそこでは、彼女もジャスティンたちも同じ立場にあったということだ。