表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/236

善意という名の悪意



「ってことは、つまり、ノース卿とも趣味が合ったってことだ」

本物のゴードンとノース卿が語り合うのをみていた父親の言葉を思いだし、ウィルが前髪をはらった。


 ジャンが困ったように首をふる。


「まあ、あの教会に集まった人間は、みんな、ノース卿の『趣味』に興味をもったか、共感したか、だ。教会横に建てた小さな家に住んでるんじゃなく、ボランティアとして交代で出入りしているらしい。そんで、教会の掃除から畑の管理までをして、《ノース卿の役にたつように》過ごす。つまり、彼らは城の使用人もかねてるが、これは、教会の活動とはまったく関係ないから自分たちは教会の信徒の名簿にのっていないって、みんなが口をそろえてる」


「そのボランティアで、『呪い』の運営ってこと?」


 ザックの言葉に二コルのため息が重なった。


「うそだろ・・・。だっておまえたちがレオンと足止めした中には、『マーク』に棚をプレゼントした人たちはいなかったんだろ?」


  

 ザックとウィルがそろって肩をすくめ、ジャンもこめかみをこすった。



「この教会に『ボランティア』はたくさんいて、登録するでもないし、身分を書かされるわけでもないんだ。 ―― せっかくエミリーに芝居の券を贈った人物の正体がわかったっていうのに、行き詰まったな・・・。彼らは彼女に芝居の券を贈ったが、恋人との《偶然の出会い》は劇場のハドソンが見てた。棚を倒した人物も、あの教会にいる彼らじゃないし、こりゃ、盗聴器を仕掛けただけってことになるな」


「そんな!だって盗聴してたから、あの日、保安官たちを足止めしたんだろ?」

 

 妨害だよというザックに、ルイが首をふった。


「だからさ、彼らはそれを、あくまで善意だと主張してるってわけさ。シェパードがすすめてくれた『盗聴』で、彼らは『役に立つことをしよう』って考えて、保安官たちが《忙しくて大変そうなとき》に夜食を差し入れたりした。まさしく、善意という名の足止めだけど、悪意だったとは証明できないだろう?」

 

 ルイの困ったような笑顔にザックはくやしそうに口をとじる。

 




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ