あとのこと
いまでは誰もいなくなったノース卿の城は、国が預かるかたちにして、この先の処置をサウス卿と協議中だという。
今のところはどういうわけか、警備官と警察官でなかよく、実戦演習場として使っている。
バーノルド事件の新しい被害者になりかけたジェニファーは、ジャスティンと一緒にいたところまでしか覚えておらず、それほどのショックを受けることなくなく家に帰れたのだが、そこでは母親が人を殺してしまったという別のショックが待っていた。
ザックが聞いたところによれば、泣いて両親に謝ったというから、きっと彼女はもとのジェニファーにもどれるだろう。
エミリーの頭部も、あんな状態とはいえ恋人と両親のもとにもどされた。
中央劇場はそのまま劇場として普段通りの役目をつとめており、きっとあの《地下》もそのままなのだと思う。
なにしろ、―― バーノルド事件の犯人は、サウス卿とその執事である『人間』のしわざだったのだから。
あの魔女の調書や、自分たちが見て体験したことが、どこまで警察官や検察に信用されたのかなんてことはザックは知らない。
ただ、新聞やニュースではサウス卿と執事二人が、バーノルド事件の犯人だったと報道されただけだ。
真相を知ってるのは自分たちだけ。
まあ、あんな真相を世間に発表しても誰も信じないだろうけど。