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ご協力に感謝します


 ぜったいにそのまま転ぶかという体勢だった道化が、急に、なにかにつまみあげられたかのようにまっすぐに立ち、回れ右をした。



「さあ、これであなたの『本当の名前』はわたくしがとりあげましたわ。 ―― さらに呪いをかぶせましょうか」


「や、やめ、」


「いいましたでしょ?《議会》で決定しましたの。 ―― あなたの『本当の名前は名簿から抹消され、その魂は人間の肉体とともにおわりをつげる』。あなたの悪鬼としての記憶もとりあげます。 《フランク・スペア》として、『人間の法』に従いなさい」


「ぎゃあああああ!うそだ!うそだ!やめてくれ!」



「うるさいなあ。 ほら、手錠するから手をうしろ、足、ひらいて。 マイク!早く来てこいつの『人間としての権利』を教えてやってよ」

 ウィルが叫ぶのに、階段の一番下に腰かけ成り行きをみていたマイクがおっくうそうに動いた。



 フランク・スペアとなった《道化》は金切り声をあげて気を失い、またしてもウィルの足元に転がった。

 

 その男をながめたマイクが、ワクナをふりかえり、小声で言った。


「・・・ご協力に、感謝します。―― たとえあんたが、魔女だとしても」



 女は微笑み、肩をすくめた。


「人間て、・・・やっぱりおかしいですわね。わたくしたちの存在を信じたり否定したりどっちつかずで。 ―― たくさんの悪鬼が演出した、『偶然』は信じるのに、『呪い』は信じたくなかったり、精霊の『力』は借りたいのに、代わりにさしだすものが自分たち自身だとわかったとたん、精霊を悪霊とよんでみたり」


 あきれたような言葉に階段をおりてきたザックが反応する。


「おい、あの気持ち悪い《精霊》ってやつは、罪もない人たちを殺したんだぞ?」



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