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引く幕すらない



「てめえ、自分の『顔』もだせねえのか」


 怒りと呆れをまぜたようなバートの冷静な声。




 それにこたえるように、階段下からのわめき声が響く。


「 よかったじゃないか人間ども!ようやく会えたな! それがかの『月の王』だ! お前たちが必死になってずっとさがしていたバーノルド事件の『犯人』だ! ―― さあ、捕まえてみるがいい!おまえたちが探してる女の《 頭 》の中に、『月の王』は存在する! だけど、どうする?おまえたち人間に、『精霊』が裁けるか? それよりなにより、その液体からひきだしたとたん、女の頭はひからびるぞ! ―― 『王』と一体になったからこそ、首だけになってもその美しさを保っている。わかるか?その、《浴槽》の《中身》。 その《 黒いヘドロのような液体 》こそが、女たちと精霊が交わって誕生した『王』なのだ。 ・・・その、ドロドロと汚い悪臭をはなつモノが、その昔魔女に封じ込められ、わたしよりも《各》が上で、おそろしい力を持つ、《精霊》のなれの果てだ!! ・・・・・こんな・・・こんなはずじゃなかった。 本来はもっと、美しい物語になるはずなのに、いくら女たちと交わろうとも、『精霊』は閉じ込められた頃のように《人のかたち》になることすらできない。・・・だから、悪鬼どももみんなひきあげたのかもしれない。もう、ここに『観客』はいない。引く幕もない。 ―― こんなめちゃくちゃな舞台、おもしろくもなんともっ、」


 がつっ、という音がして、道化は静かになった。


 ウィルが、普通に殴れるじゃないか、と言うのが聞こえた。




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