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無理なサウス一族


「その『名簿』ってやつを見て、ローランドが同じような儀式をしてたっていうのは、知ってるか?」

 マイクはローランドの死に顔と、ノース卿の『役目を終えた』という言葉を思い出す。


「ああ、ローランドな。・・・ここにある《月の王》の劇場のために、上の劇場でやる芝居を《道化》があいつに書かせたんだ。 上でローランドの芝居をみた人間たちの《言葉にできないよどんだもの》がここにたまるんだ。おかげで精霊はかなり元気になったみたいだぜ。 あいつは《儀式》のことは知っていたけど参加したことはない。おなじ人間のハロルドが参加してるんだから自分も参加させろって《道化》にひどくせまって、あまりにもうるさいから、放り出されたってわけさ。 そうしたらあいつ、出て行くときに、儀式の譜面と魔女の名簿を盗みやがったのさ」


 歯をきしらせ、唾をとばしてわらう。


「 ―― でもあの名簿はよ、人間がみても悪鬼のときの名前は見えねえんだ。ただ《人間の姿で暮らしてる悪鬼》の《人間の名前》は見えるから、それで声をかけていったんだ。・・・ローランドも《神官》と同じことはやれるって《道化》に証明したつもりだったんだろうが、効果は逆だったな。なにしろあの、『子鬼』を散々いじめたサウス卿の子孫に声をかけやがった。―― 監視してた子鬼どもは大慌てでおれたちのとこに来た。しかもあいつの儀式に、人間のギャングが関与してきたりで、ちょっと面倒な状況になりつつあった。そうしたらほら、やっぱりあの《疫病神のサウス卿》のせいで、警察官につれていかれちまったろう?」


「うちの親父のせいじゃないと思うけど」


「はっ、やっぱサウス一族は無理だったのさ。道化だってせっかくあんたの親父も巻き込むつもりでゴードンと会わせたのに、それも無駄だったしな。・・・とにかく、ローランドが捕まっちまったせいでハロルドがあわてふためくことになっちまった。 《道化》にも内緒で進めてた計画が、あんたらが城にやってきたことでばれちまって、これいじょうローランドがよけいなことをしゃべらないよう黙らせたりな。 ―― で、おれたちは最後のひとさわぎってことで、ジェニをここに無事に連れてきて、あと、ハロルドの希望で《観客》をひとりよんだ」


 それがジャスティンか、とマイクがため息をつく。


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