直に交信
そこでルイが手をあげ、そういう話しはあとにしてくれ、と二人に割って入った。
「バーノルド事件に話をもどそう。 ―― って、ことは、バーノルドの実行犯はノース卿ってわけじゃなくて、その精霊を解放した『悪鬼』と、ノース卿やきみたち『みんな』ってことか?」
「 まあ、・・・《人間的感覚》でいうと、そうなるのかもな。 ―― 『精霊』に人間の気を捧げる儀式を、なんでも《芸術的》に高めるんだとかいって、計画をしたのはあの学者だ。 それを手伝ったのがおれたちだけど、でも勘違いしないでくれよな。 参加したのには、人間で言うそれぞれの《理由》ってやつがある。・・・ま、『子鬼』どもはもともとのぞきみ趣味があるが、おれたちが監視みたいな真似してたのは、仕方なくだって。 喜んで手伝ってたのはハロルドぐらいだ。 あいつも最初は《道化》のこと尊敬してたみたいだしな。それにこたえようって感じで《道化》もはりきってたぜ。 ―― ほら、ハロルドのところに来る人間と直に《交信》もしてたし。ああ、《直に交信》ってのは、人間で言う《会って話す》ってことな。 《道化》もおれたちみたいに人間の姿だし。ところがまたも誤算だったのが、ハロルドが予想以上におれたちの仲間になりたがってたってことだ。《道化》はうまいこと操ってたつもりが、うまくはいかなくなってたってことさ」
「うまくいかない?どんなふうに?」
ルイの言葉にクロードは大きすぎる口をあけ、咳をするように笑う。
薄暗く広い空間にそのかすれてからんだ音が響いた。
「 ―― あんたら、見てただろう?ああ、違うな。見てたのはハロルドにさらわれて連れてこられたあの間抜けな『警官』か」
「ジェニファーはこの先に絶対いるんだろうな?」
マイクが怒りを抑えた声で確認する。