表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
206/236

どっちが上手(うわて)


「 ―― あれが精霊を閉じ込めた、魔女の『封』だ。 それを人間のゴードンに、《発掘》っていうかたちでとりはずさせたわけだけど、精霊も学者も、それぞれ『自分が封を解いた』と思ってる。  精霊は、『学者だった悪鬼をうまいこと操って自分を解放させた』と思ってるし、学者は『人間たちを操って魔女の封印を解き精霊を解放してやった』と思ってる。 お互いに相手より上手うわてだと思ってここまでやってきたわけだ。  ―― でも、あいつらまとめてもう終わりだよ。こんなふうに人間に入ってこられるなんて、『精霊』の・・・『月の王』は、もう人間の《気》を吸収できないんだ。魔女の呪いのせいだろ」


「《気》を吸収?」


「《月の王》は、人間から吸い取った《精気》で長生きしてんだ。あの『精霊』が『魔女』に閉じ込められた原因ってのは、大昔に《人間から精気を奪う儀式》を、やりすぎたからさ。 だから、《道化》が《月の王》のために、同じ場所で同じように《儀式》を行った結果っていうのが、人間のいう《バーノルドの森事件》ってわけだ。 ―― でもよ、《人間から精気を奪う儀式》ってのは、大昔この辺りにいた人間とあの精霊との《取引》だから、精霊だけが悪かったとおれぁ思わねえけどさ。・・・人間にいわせりゃその取引が《悪霊》のすることなんだとよ。まあ、やつも調子にのって、結局それで、魔女に封じ込められることになっちまったんだけどな」



 白く巨大な柱の空間を、顔が悪鬼とクロード半分ずつの男と肩を組んだケンを先頭にしてすすむ。



「おまえの言い方だと、人間のほうが悪くきこえるな」

 

 ジャンの言葉にクロードは笑った。


「そりゃしかたねえさ。儀式に必要なのは『処女』とか、『清らかな魂』、とか人間の世界でよく聞くけどさ、そういのは、人間のほうが勝手にそういう限定つきにするんだ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ