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まだ終わってない


 マイクの断言に、ジャスティンの口が勝手に動く。

これも、さっきのも、『自分の言葉』なのだと、痛いほどわかっていた。


「お、・・・れのせいだ。 ―― おれは、警備官のお説を笑い飛ばして、ローランドやジェニファーにもノース卿が関わってることすら素直に認めようとしなかった。 ・・・だけど、いまさらだけど、認める。そのよみは正しい。  この事件はおかしなことだらけだ。こんな状況想定してなかった。もっと慎重に動くべきだったんだ。この事件を担当するように長官から直に命令されて、最初は嫌だった。けど、おかげで憧れだったマイクと組むこともできた。 ―― おれは、マイクみたいに冷静に物事を受け止めることができないから、このさい、勢いだけでも勝とうと思ったんだ。おれだって警察官だ。今は軽犯罪部だけど、そのうちに重犯罪部にいきたいとも思ってる。ガキどものお守り係って陰で言われてるのも知ってるし、その通りだって思う。 ―― 認めるよ。おれはマイクを出し抜きたかった。尊敬してるけど、負けたくなんかなかった。二人で組まされて、これは試されてるんだと思った、だから、・・・連絡しなかった・・・。そのせいで、・・・おれのそんなちっぽけなプライドのせいで、このままじゃ、バーノルド事件がおわりだ。  ノース卿が犯人なのに、証拠もなにも残ってなくて、うやむやのまま終わりだ。 ジェニファーは行方不明のままで、エミリーの頭も出て来ない。・・・こんなかたちであのバーノルド事件がおわっちまうなんて・・・ちくしょう。こんな終わり方になったのは、 おれのせいだ・・・」

 まずいと思ったがすでにおそく、目から水があふれる。


 ずっとこちらの顔を見ていた年上の警察官の顔がひどくやさしくなって、頭をつかまれて下をむかされる。

「 ・・・やっぱりおまえ、バカだなあ。いいか、おまえは今でもじゅうぶん立派な警察官だ。じゃなきゃ用心深い『浮浪児』のあの悪ガキどもにここまで信用されるわけないだろ? 部署の希望の件は、今度飲みながらきいてやる。―― だいたい気が早いぞ」


「そうだよ。まだ終わってないんだからさ。ザックも言ったろう?勝手に終わらせないでほしいよ」

 そう言うウィルがむこうで土に埋まった石板を囲む仲間に、どう?と状況を確認すれば、ジャンが困ったように首をかたむけた。


 マイクも、どうした、とそばに行く。


「あの煙、この石の板の真ん中に吸い込まれていってるんだけど」

 どうみても本物の石なんだよなあ、と埋まったそれをつま先で蹴り確認する。


「動きそうにもないしな」

 土にうまった石を、膝をつき掌底で押してみているニコルもいう。


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