№53 ― 『無事か?』
ようやく、ほんとうに終わりがみえるとこまでまいりましたー。。。
№53
「おい!無事か?返事をしろ!」
ぐらぐらとゆさぶられる。
回転し続けていた感覚が落ちつき、地面によこたわっているのだと感じたとき、まぶしさに顔をしかめた。
顔にライトをあてられている。
「意識はあるな。外傷もない。 おいジャスティン、どこか打ってるのか?」
「・・・この声はきいたことがあるな・・・、ああジャンだ。・・・ジャンだって?」
ジャスティンは一気に覚醒した。
「の、ノース卿は!?」
いきなり起き上がったので、あやうくのぞきこんでいたマイクの顔面に頭突きをするところだった。
ジャスティンの頭を押さえた男が安堵の息をつく。
「 ―― 元気そうでなによりだ。だがな、おれはおまえに説教する準備がある」
「あとできくって。 それより、ノース卿はどうなった? 大鐘は?」
みまわせば、取り囲むようにこちらを覗き込む顔がなにか言いたそうにならび、この状況におちいった自分の軽率な行動を思い出す。
「あっと、・・・そりゃ、連絡しなかったのは悪いと思ってるけど、その、すっげえあわててたもんだから・・・」
言いながら辺りをうかがえば、むこうに何ものっていない石の板がみえた。
まだ頭がふらつく。
「おい、ノース卿はどこいった?あのでかい鐘は?」
「『鐘』?あ~、やっぱり頭を打ったのか?」
最初にジャスティンを揺さぶった男は、同情のこもった目で見おろして続けた。
「 ―― まあ、目覚めて最初に『ノース卿』を心配する時点でおかしいもんな。 ―― で?」
ジェニファーはどこだ?と聞くジャンの声は、一転してひどく事務的な口調だった。
「どこって・・・?」
あわてて身をよじって見回す。
そこはたしかに広い空間ではあるが、先ほどあった巨大な柱も長く続く階段もない。
男たちが手にしたライトだけで部屋のすべての様子がみてとれるほどの大きさだ。