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《鐘》が鳴る



「でも、あんたの『名簿』をつかったんだろ?だいたい、名簿ってのはなんだ?」


 ジャスティンの問いに、ノース卿は青い炎に照らされた静かな表情をむけた。


「―― あの男は、《いやらしくひくつな魂》をかわれたんだ。あいつがつむぎだす『言葉』は人を傷つけ嫌な気分にさせる。そんな言葉を投げ合う場所には悪鬼が好む『気』がたまる。わかるか?この場所にまったくふさわしいじゃないか? 《芝居》だとなれば、その言葉の効果を考えもしない。そのうえ、月を称える言葉を並べてみせたのだ。 ―― いいか、このわたくしのおかげで、ここにもう一度『月の宮殿』を築けたのだ」


「月の宮殿?」

 まさかこの穴ぐらのことじゃないだろう、と続けようとしたとき、その音が頭上からふってきた。





      リリン ゴオオオン 

              リリン ゴオオオオン  

                    ゴオオオオン



「!?なんだ?」


 ふってくる鐘の音は、劇場でつかわれていたものとは比べようがないほど、はっきりと大きく空気をふるわせ、むかしよく連れて行かれた聖堂教の教会をおもいおこさせた。

 いや、あの時きいた音のようになめらかに美しく調和せずに、鐘は不快な重なりで音をひびきわたらせる。


 


 おお、とノース卿が震えるように上をみあげ、歓喜にみちた声をだす。


「 『祝福』されている。 ―― やはりわたくしは正しかった。この女が城に来た時にわかったのだ。これはわたくしに、 《与えられた女》 なのだ」



「いや。だれも与えられてねえぞ。 ケイトだって、サラだって、あんたがそんなふうに勝手に思いこんで殺したっていうのか?」


 鐘の音はどうやら上からふってくるらしい。


 見上げるが、ジャスティンには闇しか見えない。




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