表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
174/236

どこかの宮殿



 あいかわら闇の中にはなにかが《いる》気配。

 先を行く影はまるで急ぐようにすすんでゆく。


 ジャスティンは離れすぎないようにあとを追う。

 彼が手にしたろうそくだけが唯一のあかりなのだ。


 すると唐突にノース卿が止まり、手にした燭台を高々と掲げた。

 揺れる蝋燭の光に、扉のようなものが照らし出される。



   ――― う・・そだろ・・

 

  その扉を見上げてジャスティンは息をのむ。



 地面の下だろうこの空間に、こんなでかさの扉をどうやって、と自分を現実に引き戻すべく考えていると、扉がすうっと開かれた。



「はは・・自動ドアだ」

 自分を笑わすためにつぶやき、先に入ったノース卿を追う。



 踏み込んだ部屋の広さと、天井の高さに圧倒され立ち尽くした。




 見上げた天井は闇にのまれてただの黒い空間だった。

 その天井を支えているだろう太く長い柱が等間隔で並び、左右対照のまま奥までずっと続いているのが確認できたのは、すべての柱に、ごてごてと装飾された燭台がつけられ、うっすらとした炎があったからだ。



  思わずつかんだ腕の皮膚をつねりあげる。


  本当に現実か?


 ゆっくりと進みながらみまわした空間の広さとつくりに、昔博物館でみたどこかの宮殿のようだと思う。

 

 ただ、足元だけはさきほどまでのきれいにしきつめられた石の床ではなく、乾いた土になっていた。

 さらさらとしたそれが、ジャスティンの靴を白く汚す。

 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ