理由
自分が犯人だとは認めていない男の背中をにらみながら、ジャスティンはマントをはおった。
「 いいか?はっきりさせておく。あんたがバーノルドの犯人なら、彼女たちの首をきりはなしたのはあんただ。さっきの戯言はここから出た外の世界じゃ通用しないさ。あんたはれっきとした『殺人犯』だ。 ・・・ジェニファーは確かに自分でここに来たって言ってたけど、それはあんたが操る声が怖かったからだ。どんな仕組みでやってるのかなんて話は調書をとるときにしゃべってくれればいい。 おれはこれからその《儀式》ってやつに出るが、ジェニファーには指一本・・」
一本どころか、彼女は今ノース卿に運ばれているのを思い出す。
「・・だすなよ。 彼女は大事な《花嫁》なんだろう? 他の女は?彼女たちもあんたの花嫁だったのか?それとも・・・、花嫁にならないから、殺したのか?」
自分で口にして、それはひどい理由だと腹が立つ。
こたえはなく、ジャスティンはしゃべりつづける。
「『儀式』に参加してるほかの連中も共犯ってことになるんだ。ローランドのパーティーに参加してたのと同じような連中なのか?上流で地位もあって金もあるってのに、なんでそんなのに参加するのかまったく理解できないし、そもそもどうやって声をかけるんだ? なにか『名簿』があったとかって聞いたけど、その名簿ってのはあんたがつくったのか? まあ、貴族様だからな。そういう人種をかき集めるのも得意だろうし声をかけられたほうも仕方なく集まるってのもわかるけど・・・、でも、あのローランドのところにも、よくあれだけの人間が集まったもんだよなあ」
「『名簿』を、使ったからだ」
いきなり、低く怒りを含んだ声がこたえた。