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古い譜面


 画面にうつる黄ばみがかった薄茶色のそれは、表面に無数のひび割れがはしっている。厚みがあるぶん、簡単に崩れてゆきそうだった。


「ローランドが盗んだこの『譜面』は、片側を糸で綴じた跡があるね。これが表。その裏にも譜面がある。ノートPCより少し大きいくらいかな。ふちの劣化は激しいけど、表面は嘘みたいにきれいな状態だね」

 その表面には、きざまれた階段のようなものがあり、これが音階だと説明がはいる。

「で、譜面に使われているこれって実は羊の皮で、そうとう古いものだっていうのがわかったよ。これが検査結果。ここが五百、千、で、これは、―― ここ。博物館行きの代物だね」


ため息をついてから続けた。


「これにはサラの指紋がついてるし、彼女はこの『譜面』のうたをうたってた。ふつうはこれで、サラとローランドのつながりを疑うだろう?ところが、ローランドは、この譜面はノース卿がもっていたものを盗んだと主張している」


 そうだろうな、とジャンはうなずく。

「彼女が森で練習をしているころにはローランドはまだノース卿の城にいて、自分のパーティーは開いていない。疑うべきは、サラとノース卿のつながりだ。おれたちは、彼女があのうたをうたっていた場所は、《ノース卿のパーティー》だと考えてる」


「だからきっと『録音』もいっしょに盗んだんだろ」とジョニーの返事をまたずにルイが断定した。





 ふさふさの白髪に指をつっこんだジョニーが、黙ったまま何度かうなずき、さて、ではケンに頼まれてたものを、と最初につかんだ紙の束をふってみせた。




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