表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
159/236

子鬼


「 ―― わたくしが《あれらの仲間》だと? とんでもありませんわ」

 マイクに目をやる。

「 言いましたでしょう?あなたがたに道をしめしたいのです。そして、・・・怪我のないようにしてさしあげたいの。 まさかあんなに《奥》にはいってしまうなんて思いませんでしたが、でも、まだ間に合いますわ」


 そしてウィルをじっとみて、眉根をよせた。


「・・・あなた、あの『サウス一族』でいらっしゃるでしょう?そのせいで、すごい数の『子鬼』が見物しようと出て来てしまってるのです」


「へえ・・・、きみ、ぼくのこと知ってるわけ?『魔女』にまで知られてるって自慢しようかな。でもさ、『子鬼』って何のことだよ?まるで、ぼくの一族が何か悪いことしたみたいじゃないか」

 ウィルの顔が不快げにゆがむ。


「もう、・・・忘れ去られたことですのね。―― あなたが『子鬼』を知らないとしても、『子鬼』たちのほうはあなたのこと存じてますわ」


 女の最後の言葉が終わらないうちに、何かがすごい速さでザックの足元をよぎった。


 驚いてよけたそれが、かちかちと爪のあたる音をさせ、近くのスチール棚をのぼりはじめる。



「な、なんだよ、あれ・・・」

 ネズミよりもはるかに大きく脛の中ほどまである大きさの二足歩行の黒い生きモノが、鳴き声のようなキイキイという音をだしながら不器用に棚をのぼってゆく。



「ネズミじゃ、ないよねえ?」

 ウィルが気持ち悪いなあと言って棚をのぼろうとするそれを思い切り蹴った。



 ぎゃっ、と子どものような悲鳴が響きわたり、みながぎくりとする。




「かわいそうなことなさらないで。あなたのご先祖が散々この『子鬼』を退治したので、みんなあなたのこと、 ―― こわがっていますの」



 蹴られた黒い影が床に転がり、のぞきこんだ二コルが「コウモリとサルの間みたいだな」とそれをつまみあげようとしたとき、「毒があるかもよ」というルイの言葉にあわてて手をひっこめた。

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ