『学ぶ女』 ― ナタリ
マイクの横に、なにかを見上げるナタリがあらわれた。
『 あなたに会ってようやくわかったの。うちが信仰してるあの《教え》は、聖堂教の教えをまっこうから破るものばかりだわ。あれはこの地に移ってから、聖堂教を否定するためにつくられた『神様』なんだと思ってたけど、逆なのね? ―― この国が支配されたときに持ち込まれた聖堂教がいつのまにかこの国の『神様』になってしまったけれど、《移民》がやってきて、その『聖堂教』を否定し、憎む人たちが現れて、ようやく、《 この地に元からいる神様 》と交信できる人がでた。 ―― そうして、わたしみたいに、『神様』に選ばれた女が、巫女として、『交わる』ことをゆるされたのね 』
その言葉にナタリのうっとりとした目からは涙があふれた。
それを見つめるマイクの顔は、同情するような、怒っているような微妙な表情だ。
『ああ、もう待てないわ。今日も早く、あなたとひとつになりたい。ねえ、はやくいつもみたいにわたしをひきずりこんで。死人とまじわれるこの森って、ほんと魔女の森なのね。ああ、はやく―― 』
ナタリが両腕をマイクへのばし、そのまま消えた。
ザックが、わけがわからないというように、シビト?とつぶやく。