№47 ― もやの中のジャスティン
№47
ジャスティンは白いもやの中にいて、なんだかふわふわとした感覚で手も足もやわらかいものにずっとくるまれているようなおかしな感じを味わっていた。
あれ?今日、非番だっけ?
目をあけた薄闇の中、ねぼけたようなすっきりしない頭が、なにかを思い出させる。
『 直属の上司はこのわたしだ。 つまり、今からきみたちは
所属部署を一度はなれて、規定外で動くことになる 』
「っ!?」
一気に覚醒して起き上がろうとしたのに、体がいうことをきいてくれない。
目と頭は完全に覚めているのに。
――― くらい。が、みえる
右肩が下になっていて、頭を動かそうとするとひどく痛む。
ここに来るまでのことを一瞬で思い出した。
背中を寒気がかけぬけ、心拍数があがる。
ゆっくりと意識して動かした指先は痛みもなく動いた。
ただ、感覚はおかしいままだ。
耳は何の音もひろわない。
おかしくなっているのかと思ったが、自分の腕を動かす音がきこえた。
冷えて湿った空気。
自分が横たわっているのが土の上ではなく、石のうえなのだと手のひらで確認。
「気が付いた?ねえ、生きてるのよね?」
突然、背中の方から女の声。