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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 後編  作者: ぽすしち
〈ひとり芝居〉 目もあてられない
141/236

『約束の女』 ― ケイト


 まるで地下道に浮かんだジェニファーのような『白い影』は女で、そしてそれは動き、座り、絵を描いていた。



「あれ、・・なに?」

 どうなってんの?というザックに、きっと立体映像だよ、とルイが言う。


「そういやこの前新聞に載ってたな。隣の州で、新しい劇場で立体映像の芝居をやるって」


 二コルの説明にザックは不安そうな顔をみせた。


「でもあれって、・・・」


 「そう。ケイトだ」

  闇に明るく浮かび上がり動いているのは、十二年前にバーノルド事件のはじめての被害者となったケイト・モンデルだった。


 まるで生きてそこにいるかのように動き絵を描き、合間に立ちあがって踊るように体をゆらし、遠くから絵を確認してまた座る。


 彼女のくちずさむ鼻歌が聞こえてきて、ザックは息が苦しくなった。

 あそこにいるのは、『生きている』ときのケイトだ。



 そのケイトの微笑む顔が、いきなりザックのそばにあった。

 意志の強そうなまなざしで見つめられ、どきりとしたら、その薄い唇がゆっくりと開いた。



『 ここってすごくいい場所。気に入ったわ。あたし、ここで絵を描く。それをあなたに直に納めればいいんでしょ? 音楽聞いてても誰にも文句言われないし、眺めは最高だし。あ、でも、風景を描くわけじゃないのよね。わかったわ。あなたの望むものだけを描くわ 』


 振り返って微笑むケイトは、ザックにそう言った。









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