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A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 後編  作者: ぽすしち
〈ひとり芝居〉 目もあてられない
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効果音




『 さてもみなさまお集まり 紳士淑女のその中に

        

            なにやら迷いし子ネズミが 』



 マントの男の朗々とした声が響き渡り、子ネズミって、おれたちのことか?と嫌そうにザックがいうと、くすくすという笑い声が、部屋の中、さざ波のように伝わった。


 驚いて身をすくめる。


 どうきいても数十人単位の発するざわめきだ。



「この部屋に・・・、いま笑ったやつらがいるってことだよな?」

「落ち着けザック。きっと芝居の効果音をつかってるんだ」


 みまわした棚に気配はない。

 ここにいるのはむこうの舞台で芝居をはじめた男だけのはずだ、とマイクは断言する。




『 おやおや震える子ネズミは なにやらさがしているようす

     おお、もしやあの われらの王と踊りし女たちをおさがしか? 』




 芝居がかったその口調が気に入らなかったが、ルイはゆっくりと言葉を返した。


「踊ってる女なんかさがしてないよ。さっきも言ったが、おれたちはジェニファーをさがしてる。―― あんた、ジェニファーを呼び出しただろ?どこに隠してるのかはやく吐いたほうがいい」



 またしても、あたりをひくい笑い声が満たす。




「ちくしょ、なんかおれたち完全に馬鹿にされてる」

 

 ザックの言葉にさらに笑い声は増幅し、マイクはひどくうなじが逆立つのを感じる。


 芝居の効果音だと言った自分自身でさえその言葉を信じていなかった。

 


 ――― この笑い声、どこからわいてる?


  まるで、この部屋いっぱいに観客がいるようだ。




『 踊った女はさがしておらんと これまたつめたいお言葉を。

        ならばさあ、女のダンスをごらんあれ。

               まずははじめの 《約束の女》 』



 またしても突然におとずれる暗闇。


  だが、ただの暗闇ではなかった。


 男が立っていたとおぼしき場所に、白い影が浮かんだ。



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