続き部屋
気を落としたハドソンに同情しながらも、とりあえず、この前案内してもらったノース卿からの『寄贈品』が詰まった保管部屋に入りたいと希望した。
ゴードンの残したもので中央開発と銘打った初期の工事資料を確認はできたが、『遺跡』が出てきたことにより途中から工事の権限は国土省から文化省へと移り、マイクは長官を通じて文化省にこの建物の工事資料を請求したのに提出は拒まれた。
「 ―― おれたちだって、本当にここの地下なのかはまだ確信がないんですよ。あくまで、この一帯にあった遺跡のことなので、場所はもっとずれてるのかもしれないし。 ただ、そこへゆくための手掛かりは、絶対にここにあるんだと思います。そのきっかけが、西館三階の六番目の部屋にあると思ってるのですが、昨日確認させてもらったら、椅子でいっぱいでした。 あの椅子は、いつから?」
ああ、とうなずいたハドソンは、もう五年以上前からあそこは椅子の倉庫です、と言って、一度足を止めた。
あやうく後ろにつく男たちが衝突しそうになる。
「 ―― 三階の六番目の部屋?・・もしかしてあそこになるかもしれないな。あそこの部屋だけ、少し形がちがうのですよ。 五番目の部屋には、続き部屋が中にあるんです」
再度足を運び始めた男の言葉にみんなうなずき合うが、「でも、あの部屋も倉庫じゃなかったかな。天井までの棚でいっぱいですよ」と続け、くわしくは見取り図で見てほしいと言う。
「ありがとうハドソンさん、その部屋も見てみます。とにかくこの地図があれば、かなり空間の把握ができる。 ―― ところで、あんたはこの劇場でおかしなことを体験したことは? 例えば、その・・・、棚が倒れるとか、誰かが突然行方不明になる、とか」
ニコルが丸い目をむけたずねる。