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若者たちのパパ
自分はただ悶々とすごしていた時間に、(きっと夜通しで)ひと仕事終え、さらにマフィンとジュースを買ってきてくれた若者たちをみやったマイクは、なんだか恥ずかしくて、剃ってない髭をかいてごまかした。
「そうか・・・。だが、現に、ジェニファーはあの地下道付近で消えてるんだ。とにかくこれらの地下道のつながった先は、みんな中央劇場なんだろ? なら、もう長官の連絡なんて待ってる必要もない。 いくぞ、ケン、ザック」
呼ばれた若者たちがマイクの両側にならび、にやけた顔を見合わせた。
「かっこいいよ、さすがおれたちのパパだ」
ドアをあけるケンはいつものようにからかう口調ではなかった。
左後ろから同意するようにマイクの背中にこぶしを当ててくるザックは早く行こう、とせっついてくる。
なんだか、いつまでも現場主義で、いつでもバートたちと仕事をしたいというノアの気持ちが、わかってしまったような気がして、笑うようなため息とともに言葉がもれた。
「 ―― もしこれでクビになったら、おまえたちでパパを養ってくれよ?」
もちろん若者たちには断られた。