蟻の巣
あらためてマイクはその『矢印』の多さに寒気をおぼえた。
「・・つまり、そのふさがれなかった『地下道』が、この街の地下に、こんなにあるってことなのか?ノース卿が隠したせいで、これだけの『道』が、おれたちのこの街の下に?こんな・・・蟻の巣みたいに?」
テーブルに広がるヤニコフの資料が作り上げた地図をながめる。
ジェニファーが消えた場所をさがせば、『15番』と矢印に番号がうたれ、《地下鉄道 現2番線 開発中止》という説明があった。
地図についた矢印が目指す先は、街の中央にあたる《劇場跡》なのはあきらかだ。
「・・・この矢印がぜんぶ、中央劇場につながる地下道とかいうなよ?」
こんなに地下に道があったら、いつか上の劇場は傾くかもしれない。
「ヤニコフの見解じゃ、何層にも重なっているんじゃないかって。それに、これらが今現在、使えるかどうかの確認はまだ全部していない。 ジェニファーが消えた近辺の地下道は、今朝、ケンとザックがヤニコフに指示してもらってすべて確認済みだけどな。この紙にのってる『穴』はすべて完全にふさがれてた」
『15番』と他に6つほどの矢印がついた紙をジャンが指ではじく。