表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/236

心から祈る


 白く照らされた部屋にはいりこみ、身をかがめたまま外をのぞくと、中庭らしい芝生がみえる。


 空には月。

 それだけでこんなに見えるのかと驚きながらポケットからにぎりつぶした紙幣をだす。

 


 明日の朝、この部屋に人は来るだろうか?

 


 部屋の中にはいくつものスチール製の棚。

 そこに整然とおさめられたいくつもの箱と床に積まれた紙の束。


 どうやら事務用具関係の在庫置き場所らしい。



 これから上演されるらしい芝居のポスターも印刷所から送られた状態で積まれている。


 その一番上に、シワをのばした紙幣を置いた。

 もし、なにかあったとしても、この芝居の上演が近づけば気づいてもらえるだろう。



 月明かりに慣れた目で棚からペンをさがしてポスターに署名した。



  「 ―― いいね。おれが主演ってかんじで」


 自分を笑わそうとしたのに、うまくゆかなかった。



 息を吸って、吐く。

 

 握ったこぶしで額、胸、と軽くたたき、生まれて初めて、『神様』に心から祈りをささげた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ