表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/236

№44 ― 挑発(ジャスティン)

ようやく、終わりがみえてまいりました。。。。




№44




 なめられているとジャスティンは腹が立った。



 自分が管轄する場所にいるクソガキどもになめらるのとはわけが違う。

 相手は、連続殺人犯だ。

 

 支給された銃器は、この職に就いてからまだ十回ほどしか実際につかったことはなく、そのうちの三回は他の部署の応援のときだし、撃ったことは二度しかない。

 

 弾倉を確認して装填する音が、静かなトイレの中でひびく。

 特殊プラスティックを部分的に使用したその銃は、しょっちゅう解体して掃除する必要がない、扱いが簡単と評判の支給品で、製品としての基準は高い。



 ――― おれでも、うまく扱える。・・・当てられる確率も、高い



 息を吸って吐く。

 街中のどんな店のトイレとも違い、不快なにおいが少しもしない。

 床を見れば黒い石には自分の靴がはっきりと映っている。


 上着のポケットをさぐり、もう何度もみかえした文字を確認する。


 この国の発行する最高額紙幣には、走り書きしたような黒いインクがジャスティンを挑発していた。


 


     その女はここにいる!さあ早く!早く!待ちわびる女のもとへ!




「ちくしょお・・」


 その裏にはこれから先の行動を指示する文があり、街中を歩きながら読んだとき、くしゃりと札をつかんだ逆の手で探した携帯電話は、なくなっていた。


 自分の愚かさを呪いながらふりむけば、当然クソガキは消えていて、今度会ったら署に連行してやると思いながらも、当然のことだ、と子どもに金をつかませた男に腹が立った。

 



  ――― 金をもらったからじゃない。怖かったんだ



 《クソガキ》の、今までみたことのないおびえた表情を思い出す。




 金も地位もある貴族のあの男がコートをひるがえして歩く姿は、どういうわけかジャスティンには禍々しい『化け物』にしかみえなかった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ