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№43 ― 両替(マイク)




№43




 マイクがまた額を叩こうとしたとき、会議室をのぞきこんだ女性が、マイク・ベネット警察官主任はいらっしゃいますか?と叫ぶ。


手をあげると、お客様です、と子どもを連れた警察官をしめされた。


 マイクをみて緊張しながら自己紹介した若い警察官は、ジャスティンがのり捨てた車が見つかった区画の車両交通担当だった。

それにともなわれ、はじめからずっと敵意むき出しでマイクをみあげ、警察官が肩に置いた手をはらう子どもは、突然、「あんたがマイク・ベネットか?」と、かわいげのない口調できく。


「そうだけど、おれってそんな有名だったかな?」


 有名です、と返す若い警察官をにらみ、かがんで子どもの顔をのぞく。

 あきらかに浮浪児だ。


「このガキが、行方不明の警察官についてベネット警部とじかに話したいってきかなくて」


 背後で言う警察官をひときわにらみあげた子どもをみて、マイクはまだここにいたそうな若い警官をとりあえず帰した。




「―― まあ、すこしは話しができそうな感じだな」


 こどもがえらそうに言い、ポケットからしわだらけになった数枚の高額紙幣をとりだした。


「あんたなら、『両替』してくれるって・・・」


 こどもと目があったマイクは、それをハンカチで受け取る。



 遠巻きに、こちらをみるともなしに気にしていた警備官たちにそれをかざせば、横を通ったジャンがハンカチをさらっていった。


「手持ちがぎりぎりだな。負けてくれるかい?」


「冗談だろ」


「じゃあ、今度、払いにいかせる。ジャスティンに」


「・・・なら、いいよ。 あと、 ―― 買ってほしいものがある」


 財布をとりだしたマイクに、緊張した子どもが言った。


 少し震えている手には警察官の身分証と携帯電話があり、あわせた顔には、怒られるのを身構える気配。



「・・・わかった。これもあいつに買わせるよ。払いに行ったとき、ふっかけていいぞ」


「 ちがうって、いま、あんたに、買って、ほしいんだよっ 」


途端に必死な様子をみせる。



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