表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
A班ファイル ― 魔女は森では踊らない ― 後編  作者: ぽすしち
ほんとうの 幕開け

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/236

ここを掘れ


 女の表情は変わらなかった。


「 ええ。そうです。わかっていました。 《それ》が、『神』とはまったく違う存在だということを。でも、とても力があり、そのせいでどこかにとじこめられていることも、・・・そのあとに、その力が及ぼすだろう災いも。 ―― すべてわかったうえで、わたくしは実行しました。―― あの、 ウイリアム・ゴードン博士 に手紙をかくことを」



  「ゴードンだって!?」


 おもいもよらなかった名前にウィルが腰を浮かす。




「 ―― そのころの彼はまだ学生でした。わたくしはまずそれの命じるままに、ある大学からウイリアム・ゴードンという人物を探し出しました」


     



     務めを果たすウイリアム・ゴードンにめぐみを





「 彼をみつけたその日に、図書室へむかい、数冊の本を盗んで帰りました。家についてから取り出したその本に、聞いたこともない地名と数字を書き入れているところで、われにかえりました・・・。意識はずっとありましたが、図書室からは勝手にうごかされているような感覚で、絶対に、あの存在のせいだとわかっていました。 ・・・ですからほんとうはそこで、手にした本を捨てることもできたのです。 でも、―― わたくしは自分の意志で、数字をかきこんだ本をゴードンに送りました」



 まさか、とウィルが喉につかえるように言葉をだした。

「―― ゴードンは、送られてきたその本をみて、遺跡たちを掘り当てたとか言うんじゃないよね?」



「そうです。彼に送った本はこの国に伝わる伝説を集めた子ども向けの本だったり、民俗学者が聞き集めた言い伝えをのせた本だったりしました。 そのなかに赤線をひき、地名を添え、掘るべき範囲の数字までかき添えて送ったのです。 ―― ゴードンがそこを掘りはじめるまで、ずっと、同じ地名と数字を書いて何冊も送り続けました」


「そりゃ、なんていうか・・・。ゴードンもずいぶん驚いて、とまどったと思うよ」


「そうでしょう、きっと。  こちらの名前も住所も書いてありません。なので、ずっといたずらと思っていたでしょう」



 こわいよ、と小さくもらし、「だけどけっきょく彼はそれを信じ、遺跡を掘り当てる有名人になっていったんだね?」ときけば、女はうなずいた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ