ジョニー登場
新入りであるザックをみつけると、警察科学捜査部のジョニー・ヘンドリックだと自己紹介する。
ふさふさの白髪頭。きれいなピンク色のシャツにネイビーブルーのループタイ。その留め金には銀細工の馬が揺れている。
鑑識課《科捜部》部長のジョニー・ヘンドリックは、両手を嬉しそうにこすり合わせ、会議用のテーブルに集った男たちをみまわした。
「―― さてさて、バーノルド事件がようやくはっきり見えだしたぞ。なにしろ見向きもされなかったこのPCの中身が重要だってことに気づけたんだ。 ってことで、さあ、はじめるよ」
ザックの隣にこしかけた二コルが小声で「ジョニーの講義開始だ。長いから覚悟しろ」と首をまわした。
「― これが、ドナ・ホーンのPCだよ」
箱から取り出したノート型の機器を開き、ジョニーはタイプソフトをたちあげると画面をしめし、これらがすべてが姉さんへの手紙だ、自分をとりかこむ男たちをみまわした。
「うわ、・・・すげえな」
ザックはスクロールでほぼ毎日の日付を確認する。
「ドナが家を出てから失踪するまでの間、恋人の手も借りて毎日続けられていた《作業》だよ」
これも仕事の内だと思ってたかもねえと、ルイにわたされたコーヒーを飲みながら、ジョニーはキーボードをたたく。