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第五話 街へ行こう

「はい、着きましたよ」


 転移魔法を使って街の近くの平原に来ました。ここからでも街の城壁が見えます。街の中にいきなり転移するのは後々面倒なことになる可能性があるのでちゃんと正面から入ります。


「すごい、さっきまで森の中にいたのに....」


「こんな魔法あるんだ....」


「ふふっ驚きましたか?これは転移魔法といって、自分の好きなところに移動できる魔法なんですよ。ふたりは魔法を見たことはありますか?」


「水を出したり火を起こす時に魔法を使ってる人は見たことがありますけど、こんな魔法は知らないです」


「うん、聞いたことない」


「この魔法はかなり難しいですからね。多分ですが、この世界でも使える人はそうそういないでしょう」


 今の時代でも日常的に魔法は使っているのですね。衰退とかしていなくて安心しました。転移魔法については使える人がいたら是非とも一度会ってみたいですね。世界に名を残すような魔法師なら使えるのでしょうか。

 私が転移魔法について話すと二人はどこかキラキラした目で私を見てきました。


「やっぱりシェリアさんってすごい人ですね」


「かっこいい」


「あはは.....そんな目で見られると恥ずかしいですね。街はすぐそこなのでそろそろ行きましょうか」


 それから私たちは歩いて街の方へ向かいました。途中人間以外の種族の人とすれ違ったのですが、二人は他種族の人を初めて見るらしく少々失礼ではないかと思うくらいジロジロ見ていました。その方は私の方を見ていましたが......

 

 ほどなくして街の入り口へ着き、そこには二つの列がありました。左の列がこの街に住んでいる人や冒険者などが並ぶ列、右の列は商人や私たちのように住民でも冒険者でもない人が並ぶ列です。私も冒険者でしたがそれは大昔の話になってしまうので、ここでは使えません。なので私たちは右の列に並びました。衛兵の方が検問を行い問題のない人が街に入ることが出来ます。順番が来るまで待っているのですが、その間周囲からの目線がこっちに向いてきます。昔からなのでもう慣れてしまいました。


「シェリアさん、これって何をしているんですか?」


 私が周りについて考えているとレインが質問をしてきました。


「レインもアリアも街に来るのは初めてでしたね。あれはこの街の衛兵の方が街に入る人を検問しているんです」


「検問....?」


「そうです、街に入れる前にその人のことについて確認するんです。商人の人だったらどこに行きたいのかそして何を売るのかですね、もし違法な積荷を持っていたらそれを街に入れるわけにはいきませんからね。私たちの場合は滞在目的を言って犯罪者じゃないことが確認ができたら街に入れます」


「次の方どうぞ!」


 話をしていると私たちの順番が来ました。二人の衛兵の人たちの前に来ると呆然とし顔も少しばかり赤くなっていました。


「あの、検問をお願いしたいのですが....」


「あっこれは失礼しました!あまりに綺麗な方だったのもので..........では、この街に来た目的は?」


「この子たちの服や日用品を買うためです」


「そちらはあなたのお子さんなんですか?」


「はい、息子と娘です。」


「「!!!」」


 私が息子と娘というとレインとアリアは一瞬ビクリとしていました。


「そうですか、失礼ですがとてもお子さんが居るようには見えませんね」


「あはは、そうでしょうか?たしかに見た目はそうかもしれませんが」


「はい、とてもお若く見えます。それでは最後に犯罪歴がないか確認しますのでこちらのプレートに手をかざして下さい。犯罪歴があれば赤色になければ青色に変化します」



 そう言って衛兵さんは金属でできたプレートを出して来ました。なるほどこれを使えばすぐに犯罪歴があるかどうか判断できるのですね。私が知らない間に便利なマジックアイテムも増えているのでしょうね。


「分かりました。これはこの子たちも確認するのですか?」


「いえ、お母様だけで大丈夫ですよ」


 ということなので私はそのプレートに手をかざしました。結果はもちろん青です。さすがに犯罪は犯していません。


「犯罪歴も問題なし、はいもう大丈夫ですよ。このまま門をくぐってください。ようこそノルンの街へ!!」


 衛兵さんの歓迎を受けながら門を抜けて街の中へ入ります。


「あの、シェリアさん.....」


「ん?どうしたんですかアリア?」


「さっきのあれって....」


 アリアが話しかけてきました。さっきのあれ....あぁ私がアリアたちのことを息子と娘と言ったことですね。


「もちろんあれは嘘ではありませんよ。私はほんとうにあなたたち二人のことを自分の子どもだと思っていますから」


 そういって私が笑うとアリアははにかみながら下を向いてそれ以上はしゃべらず、レインも少し恥ずかしそうでした。


 街の中は住民や冒険者がたくさんおり、かなり発展しているようでした。今さっきまで黙っていた二人も街の様子を見て驚きの声をあげていました。


「人がこんなにたくさんいるの私初めて見た....」


「うん、そうだね....」


「二人とも!はぐれないように気を付けてくださいね!」


 街は人が多いので私たちははぐれないように並んで歩いて目的地を目指しましたが、私はこの街を知らないのでどこに服屋があるのかわかりませんでした。


「困りました、服屋がどこにあるのか分かりません。しょうがないです街の人に聞きましょう」


 私は近くにいたおばさんに服屋の場所を聞きました。


「あの、すみません服屋の場所を教えてもらってもいいですか?」


「服屋?それならこの道をまっすぐ.......ってあんたすごい別嬪さんだね!もしかして貴族様かい?」


「いえいえ、貴族ではありませんよ。子どもたちの服を買いに来ただけの一般人です」


「おや、ちがうのかい。わたしゃてっきり貴族様かと思ったよ。それにしてもあんた若いのに子どもいるのかい、そっちの二人がそうかい?」


「えぇ、そうですよ。ほら二人とも挨拶して下さい」


「こんにちは」


「こ、こんにちは」


「はい、こんにちは。すごくいい子たちだねぇ。服屋はこの道をまっすぐ行った右側にあるよ」


「そうですか!ありがとうございます」



 おばさんはそう言って道を教えてくれました。おばさんに言われた道を進んでいると周りの人たちの声が少し聞こえてきました。


「見ろよあれ、すげぇ美人」「ほんとだ、俺声かけてみようかな」「すごい綺麗な人がいる」「ひえーほんとに綺麗、横にいる子たちも可愛いねあと人の子供かな?」「違うよ、親子というより姉弟妹じゃない?」


 うぅ、やっぱり目立ちますね私。それにしてもさっきの衛兵さんといい私ってそんなにお母さんに見えないのでしょうか、なんかショックです。


「シェリアさん、大丈夫ですか?項垂れてますけど」


「大丈夫ですよレイン、少し自分に不甲斐なさを感じていただけですから」


「えぇ!?」


 しばらく歩くといかにも服屋という建物がありました。

『フェルゴール』という看板がかけてあり、なにかのブランドなのでしょうか。


「着きましたね入りましょうか」


チャリンチャリン〜


「いらっしゃいませ〜ってすごい美人さん!今日はどうされたんですか?」


 お店に入ると黒髪の若い店員さんが出てきて、私たちに話しかけてきました。お店の中はとても綺麗で高級感にあふれています。もしかして結構高級店なのでしょうか。


「今日は私じゃなくてこの子たちの服を買いにきたのですが、いくつか見繕ってくれませんか?」


「お子さんがいらっしゃるんですか。かしこまりました、少々お待ちください。サイズを測りたいのでこちらにきてもらってもいいですか?」


「分かりました。レイン、アリア行ってきて下さい」


「「分かりました」」


 レインとアリアがサイズを測りに行ったので、私はその間近くにある服を見ていました。プロの人が作っただけあり質もデザインもいいですね。


「この黒のコートいいですね。私の髪色に合いますかね?」


 しばらく服を見ていると先程の店員さんが私のところに来ました。


「サイズを測り終わって試着もしたので一度奥へ来て見てもらえませんか?」


「ええ、分かりました。あとこのコートも買いたいのですが一緒にいいですか?」


「はい、大丈夫ですよ」


 お店の奥に行くと服を試着しているレインとアリアがいました。

 レインは紺色のシャツに黒のズボン。アリアは薄い緑のワンピースの上から白のカーディガンのようなものを着ています。レインは髪色と合わさって落ち着いた雰囲気を感じますし、アリアは瞳と同じ色のワンピースでとても可愛らしいです。


「なんか落ち着かないです...」


「ちょっと恥ずかしい」


「そんなことないですよ!二人ともとてもよく似合っています。素敵な服を選んでくださりありがとうございます」


「いえ、仕事ですから。これの他に五着ほど準備したのですがどうしますか?」


「そうですねぇ、それも一緒に買います。今着ている服はそのままでも大丈夫ですか?」


「はい問題ないです。では残りの服も準備しますね」


 そのあと店員さんから残りの服ももらいそれをアイテムボックスではなくアイテム袋に入れながら金貨が入った袋を渡しました。確か30枚ほど入っていたと思いますが......


「そこに入っているので足りますかね?」


「確認するのでお待ちください...........ってこれじゃ多いですよ!これの半分ほどで結構です!」


「え、そうなんですか?ですが服を選んでもらったりしてもらいましたしそれはそのまま受け取ってください。それではさようなら行きますよ二人とも、ありがとうございました」


「ありがとうございました」


「あ、ありがとうございました!」


 呆然としている店員さんを置いて私たちは店を出ました。私や二人のコート買えましたからとてといい買い物でした。


「シェリアさん、服ありがとうございます」


「ありがとうございます」


 私が内心うきうきしてるとレインとアリアがお礼を言ってきました。そんなに律儀にお礼なんて言わなくても大丈夫ですのに。


「気にしないでください。さっきも言いましたがあなたたちはもう私の子どもです。だから服を買ってあげるなんて当たり前のことなんです」


 二人は少し驚きながらも嬉しそうにしていました。


「さぁ!せっかく街に来たんですから何か食べて帰りましょう!」




 それから街でご飯を食べ、しばらくしてから家に帰りました。







 







読んでいただきありがとうございます!


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