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第三十一話 飛び級

 家に帰り、着替えてから一人で料理の準備をして出来たものを黙々と食べます。ここでも二人がいない事で静かになってしまったリビングに寂しさを感じてしまいました。


「はぁ....レインたちは大丈夫でしょうか、学園の人たちと上手くやれていけますかね?」


 ずっと心配ないと思っていましたが、いざ二人が学園へ行くととても心配になってしまいます。そんな事を思いながら夜ご飯を食べ終わり、特にすることもないためお風呂に入った後すぐに寝てしまいました。





 翌日、目が覚めた私はいつものように朝ご飯を食べて着替えたりなど準備をしてから家を出て、冒険者ギルドへと向かいました。


「ソフィさん、来ましたよ。昨日の話の続きをしましょう」


「あ!シェリアさん!昨日は本当に大変だったんですよ....?依頼者への連絡や他の冒険者の対応なんかで....」


 私が挨拶をすると、ソフィさんはぐったりとした表情でそう言ってきました。彼女のそんな姿を見て罪悪感が湧いてきてしまい、謝罪をしました。


「そ、そうだったのですか....申し訳ありません、まさかそのような事になるとは....」


「はぁ、シェリアさんだから許してあげます。これからもどんどん活躍してくれたらそれでいいので」


「あはは.....」


 ソフィさんに許してもらい、これからも頑張らないといけないと苦笑いしながらもそ思っていると、ソフィさんが続きを話し始めました。


「それでは、今日もアントンさんはあの部屋にいるので早く行きましょうか、付いてきて下さい」


 ソフィさんの後ろを付いていき、ギルドマスターの部屋へと入りました。昨日と同じでアントンさんはすでにソファに座っており、私たちに気付くとソファへと目配せをしたので向かいのソファに座ります。


「さて、来たな。これからお前の冒険者ランクについて話すからな、よく聞いておけよ?」


「はい...」


 アントンさんが真剣な目つきで話してくるので、私も背筋を伸ばして心して聞きます。


「昨日一日で終わらしたワイバーンの群れ、バジリスク、マンティコア、グリフォンの依頼はどれも一人では難しいと言われている依頼だ、特に後ろの三つはな」


 そこで一旦口を閉じて目も瞑ってから、一呼吸置いてアントンさんは目を開いてから言いました。


「これらの功績を考慮し、お前.....シェリアを今日をもって冒険者ランクをCランクからAランクへとする。これは王都のギルドマスターである俺が認めた事だ」


「やはりBランクではなくAランクなのですね」


「そりゃそうだろ、ブラックミノタウロスの時も言ったがお前ほどの実力者を下のランクに置いておくつもりはない」


「それにシェリアさんはギルドでの態度も良く、物腰も柔らかいので信用出来るとアントンさんは判断したんですよ」


 アントンさんの横からソフィさんがそう付け足してきて来たのでアントンさんを見ると、どこがいつもとは違う優しい笑顔で私を見ていました。


「ま、そういうことだ。俺としてはAランクよりも上のSランクでもいけるんじゃないかと思ったが、Sランクにするにはここだけじゃなく、他国のギルドマスターとも話し合わないといけなぇからな」


「あぁ、そういえばそうでしたね」


 以前Sランクになった時も、各国のギルドマスターたちが、きちんと話し合ってから決めていました。どうやら今もSランク冒険者というのはかなり慎重に決めるらしいです。それほど重要な立ち位置の人間になるということなのでしょう。


「まぁ、とりあえずお前はこれからもどんどん依頼をこなしてくれ。Aランクなら危険な依頼も問題なく受けられるし、信用もされる、これからもよろしく頼む」


 そう言ってアントンさんは私に向かって手を差し出してきました。なので、私もアントンさんの目を見てしっかりとその手を握ります。


「えぇ、やると決めたからにはきちんと依頼はこなしますので安心してください」


「私ももうシェリアさんの専属みたいなものなので、これからもよろしくお願いしますね」


「ふふっ、たしかに専属みたいなものかもしれませんね、こちらこそよろしくお願いします」


「他の冒険者たちには、早くても明日には話が広まってる可能性があるからしばらくは注目の的かもな」


 アントンさんが笑ってそう言ってきますが、当人からしてみたらあまり笑っていられるものでもありません。


「そ、そうですか.....それは覚悟しないといけませんね」



 それからギルドマスターの部屋を出て、ギルドの受付まで戻りました。戻ってからも受付の場所でソフィさんとこれからについて話しました。


「シェリアさんはAランク冒険者となったので、これからは指名依頼なんかも来ることがあるかもしれませんね」


「指名依頼.....ですか?」


「はい、難易度の高い依頼を出す依頼者は、それを受ける冒険者を指名する事ができるんです。受けるかどうかはその人によりますけどね」


 指名依頼は主にBランクやAランク冒険者の方に来るもので、依頼者がこの人なら受けてくれる、依頼を達成出来ると思った人に指名して依頼することであり、その分報酬が高かったりします。


「なるほど、でも私に指名依頼なんて来るのですかね?そこまで知名度がある訳でもないですし」


「今はなくても、これから依頼をこなしていけばシェリアさんなら絶対に来ると思いますよ。知名度は.....今でも割とあるかもしれませんよ、ブラックミノタウロスやら昨日の件で」


「やっぱりその情報は広まってしまってるんですね。なんというか複雑な気分です」


「良い意味で注目されているんですからいいじゃないですか、それで今日はこの後どうされるんですか?」


「そうですね....今日も依頼を受けましょうか、何かないか探してきますね」


 ソフィさんに今日の予定を聞かれたので依頼を探しに掲示板の方へ行こうとすると、ソフィさんが声を上げて私を止めてきました。


「あ、待ってください!依頼を受けるのでしたら、その、溜まっている依頼を受けてくれませんか?」


「溜まっている依頼ですか、それまたどうしてですか?」


「それが.....報酬金が少なかったり、難易度の高いものは王都でも残ってしまうんです。ですから、それらを受けてもらえないかな〜と.....」


 ソフィさんは段々と気まずそうな顔をしながら残ってしまっている理由を説明して、それを受けてくれないかと聞いてきました。私は立ち止まって一度考えました。


(報酬金が少ない...別に私はお金に困っていないので問題ないです。難易度も私からしたらどれも特に変わらないものですのでこれも大丈夫です。いつもお世話になって、今回も面倒を掛けてしまいましたし、受けましょうか)


「はい、いいですよ、どのような依頼なのですか?」


「え、本当ですか!ありがとうございます!やっぱりシェリアさんは最高です!」


 そしてソフィさんから説明を受けて、私はその依頼をこなしに行きました。


 山の奥にある貴重な草を取ってきたり、どう考えても報酬金と釣り合わないような魔物を討伐してきたりとあまりやり過ぎてはいけないため、ある程度常識の範囲で依頼を達成しました。


 冒険者ギルドに戻ると、ソフィさんやエルケさん他の受付の方がとても喜んで私にお礼を言ってきたので、これからも時間があったら溜まっている依頼を受けてもいいかなとも思いました。










 

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