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第二十五話 合否通知

 ガルレール魔法学園の試験があってから二週間ほどが経ち、朝の日差しが暖かく気持ちい春と呼べる季節になりました。

 試験が終わってからも二人は魔法の練習や勉強を続けており、まだ合否通知が届いてもいないのにも関わらず、学園で何をしたいのか、何をするのかを話していました。


 そろそろ結果が来てもおかしくないと思ってベランダの窓を開けると、受験票を受け取ったときと同じ使い魔と思われる鳥が、封筒を持ってこちらにやってきました。


「あら、もしかしてこれは合否通知ですか?ありがとうございます、確かに受け取りましたよ」


「ヒューイッ!!」


 私が封筒を受け取ると使い魔は声を上げて空に飛び去って行きました。手元には二人分の合否通知があり随分と綺麗な封筒で、レインとアリアの名前がそれぞれ入っていました。


 もうここで見てしまいたいという欲求が出てきましたが、試験を受けた本人ではない者が見るのはご法度なためそのまま別の場所にある棚に封筒を置きます。


「母さん、おはよう」


「おはよう、お母さん」


「おはようございます、レイン、アリア。朝食は出来ているので冷める前に食べちゃってください」


 合否通知が届いたことを言ってしまうと二人は朝食どころではなくなってしまうため、まずは朝食を食べてもらいその後に話をします。

 レインとアリアはいつもと同じように私の料理を美味しそうに食べ、すぐに食器に乗っていたものがなくなりました。


「「「ごちそうさまでした」」」


「今日は何をしようかな、レインは今日どうするの?」


「俺は神気のコントロールの練習をしようかな、やっておかないと、いざという時に使えなくなっちゃうからね」


「あ、待ってください、今朝二人宛に封筒が届きましたよ。まずはそれを見てください」


「私たち宛に?......それってもしかして...」


「はい、先日の試験の合否通知ですよ」


 そう言って私は棚からしまっていた封筒を取り、テーブルの上に置いて二人に見せます。


「これがその封筒です。今開けて見ますか?」


「うん!見たい!合格したのか気になる!」


「俺も見るよ、早く結果が知りたかったしね」


 二人はそれぞれ自分の名前が書いてある封筒を手に取り、丁寧に開けて中に入っている折られた紙を取り出しました。しかし、そこから指が動かずなんとも言えない時間が経過していき、なんだか私も緊張してドキドキしてきました。


「ど、どうしたんですか...?見ないのですか?」


「いや、そうなんだけど、いざ見るとなると怖くて....」


「私も....急に不安になってきちゃって...」


「そうですか、しかし見ないとずっとその状態ですよ。もうバッと見ちゃいましょう」


 その言葉を聞いた二人は覚悟を決めたそうで、一斉に折られた紙を勢いよく開きました。そして恐る恐ると言った感じで二人がその内容を呼んでいくと、二人の表情が次第にきらきらとし始めました。

 これはもしや....と思っているとレインとアリアが声を上げました。


「やったよ母さん!合格したよ、しかも首席で!」


「私も合格したよ!主席はレインに取られたけど次席だって!」


「!!!!!」

 

 レインたちの試験の結果を聞いて、私は自分のことのように嬉しくなってしまい二人を抱きしめ持ち上げ、その場でクルクルと回ってしまいました。


「あぁ!素晴らしいです二人とも!まさか、首席と次席で合格してしまうなんて!あなたたちは私の誇りです!」


「うわぁ!ちょ、ちょっと母さん降ろして!」


「あはは、グルグル回るの楽しい!」


 しばらくの間そうしながら、一旦落ち着いたところで二人を降ろして私も内容を読みます。

 そこには二人の魔法、座学共にトップレベルの成績を取ったため首席と次席にすると書かれていました。どうやら座学の試験で僅かにレインの方が点数が高かったため、レインが首席のようです。


「改めて、レイン、アリア本当におめでとうございます。お母さん、嬉しいです」


「合格できたのも、母さんのお陰だよ。ありがとう」


「うんうん!お母さんのためにも絶対合格したかったからね」


「何を言っているんですか、二人が頑張って努力したからこそのこの合格でしょう、もっと自分を褒めてください」


「自分を褒める.....そうだね、ここまで頑張ったんだからもっと誇ってもいいよね」


「よ〜し!よく頑張った、私!レイン!学園でも頑張るぞ!」


 そうやって三人で合格を喜んだ後、私は合格が書かれた紙をもう一度よく見てからアイテムボックスから額縁を取り、紙に保護魔法をかけてから額縁の中に入れました。


「また、思い出が一つ増えましたね。これから更に増えていくのでしょうか」


「お母さん何やってるの?」


「多分俺たちが合格した記念にその紙を飾ってるんだよ」


「そうですよアリア、ここには三人の思い出を沢山飾る予定なんですよ」


「じゃあ、これからもっともっと増えていくんだね」


「ここに飾れるような賞とかも取らなくちゃだね」


 それからはいつもと変わらない日常を送り、レインとアリアに魔法や神気、戦闘技術などを指導して昼食を摂ってから

、今度は学園の入学前にやっておかなければならない事について話し合いました。

 封筒には合格が書いてある紙の他にもう一枚あり、そちらには入学前に必要なものや制服の案内なども書いており、レインの紙にはまた別のことが書いてありました。


「レインは首席合格ですから、入学式の際に新入生代表挨拶をしなくてはいけません。なので早いうちに読む内容を考えておかなければなりません」


「へぇ〜、首席になるとそんなこともしなくちゃいけないんだね」


「代表挨拶か、どんなこと言えばいいのかな?貴族の人たちも聞くだろうから、あんまり偉そうなことは言えないよね」


「自分の思ったことを言えばいいのですよ。レインがこの学園で何をしたいのか、どのような人間になっていきたいのか、それを自分の言葉にして話せばいいんです」


「自分の言葉でか....少し考えてみるよ、まだ入学式まで時間はあるし。あとは何かあったっけ?」


 レインは少し悩んだ後にもう一度考えてみると言いましたが、目を見ている感じだともうある程度何を話すかは決まったようです。

 紙をもう一度読んで、内容を確認してから二人に話します。


「あとは、教科書の購入についてと制服の準備ですね。こちらは王都に行って、指定のところで買わなくてはいけないらしいです」


「制服ってあれだよね!ちょっと白っぽくて可愛いやつ!何度か王都で見たことあるから、前からいいな〜って思ってたんだよ」


「あ〜、あれか、たしかに綺麗な制服だったね。王都の学校だから制服もすごいな〜って思ってたけど」


「その制服ですね、今度教科書と制服を買いに王都まで行かなくてはいけませんね。いつ行きましょうか?」


「明日でいいんじゃない?急いでる訳ではないけど、そういうのって早めに準備したほうがいいと思うし」


「それもそうですね、早く準備して入学式まで余裕を持ちましょうか。アリアもそれでいいですか?」


「うん、私も大丈夫だよ〜。ていうか早く制服着たい!」


 ということで、明日王都に行き教科書と制服を買いに行くことに決定しました。売っている場所も紙にちゃんと書いてあったのでスムーズに買えると思います。


「では、午後は軽くやって早めに終わらせて、明日に備えましょうか。じゃあ外に出ますよ」


「は〜い」


「分かったよ」




 午後も二人と一緒に魔法の指導をし、ある程度のことをやったところで切り上げ、本を読んだり話したりしながらゆっくりと過ごしました。

 晩御飯は三人で作って食べたりして、そこからお風呂に入り夜を迎えました。


 そして、例のごとく今日は私の部屋で仲良く並んで寝ました。

 

 朝起きたらアリアが私の胸に顔を沈めながら幸せそうに寝ていましたが.....


















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