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第八話 魔法を覚えよう

 レインやアリアと本当の意味で家族になった日の翌日私はとても気持ちよく目覚めました。これからあの子たちと過ごす日々を想像するだけで自然と笑みが溢れてしまいます。


「さて、起きて朝ご飯の準備をしないとですね」


 私はベッドから起き、着替えてから一階に降りて料理を始めました。しばらくすると二階からレインとアリアが下りてきました。


「おはよう、母さん」「おはよう!お母さん」


「おはようございますレイン、アリア。朝から元気ですね」


 二人が元気に朝の挨拶をしてきました。そしてついにレインとアリアの両方からお母さんと呼ばれました。あぁなんと言えばいいのでしょう、この幸福感を言葉にするのは難しいですね。

 それからいつもより笑顔も多く、幸せな雰囲気で朝ご飯を食べました。


 三人で片づけをした後私は前にも考えていたことを二人に聞きました。


「レイン、アリア二人に少し話したいことがあるのですがいいですか?」


「なに?お母さん?」

「どうしたの?」


「二人のこれからについて話したいんです。今私たちは誰もいないこの森で三人で暮らしていますがそれでは二人にとってよろしくありません。絶対に同年代の友人が必要です。ですからレインとアリアには学校に通うかどうかを決めてもらいたいんです」


「学校って魔法の?でも俺たち魔法なんて使ったことないよ」


「うん、使ってるところしか見てないし魔法学校に行けるほどの魔法なんて無理だよ」


 二人に学校に行くかどうか聞いたのですが、行く云々よりもそもそも学校に行けるのかどうか心配なようですね。ですがそこは安心してほしいです、なぜなら魔法やその他のことは私が教えるからです。それなら魔法学校には問題なく行けます。


「大丈夫です、安心してください。魔法については私が教えます」


「えっお母さんが教えてくれるの?」


「それなら行く意味がないんじゃ......」


「いえ、そんなことはありませんよ。学校はただ学ぶだけのところではありません、自分の目標を見つけたり他者とのコミュニケーションだったり、友達と日常を過ごしたりとここでは絶対にできないことが出来るところでもあります」


「へぇ、そうなんだ....面白そう」


「うん、学校......私行ってみたいかも」


 私の話を聞くと二人とも自分が学校に行ったことを想像でもしたのでしょう。どこかワクワクしている感じがします。


「そうですか、では魔法学校には行くということでいいですね?」


「「うん!!」」


 二人からの返事を聞いて私はこの子たちに魔法を教えることになりました。





―――――――――――――――――――――――――――




 

早速魔法を教えるために私たちは外に出ました。この森なら広いですし、何かあった時も対処がしやすいですね。


「二人は魔法がどのようにして起こっているか知っていますか?」


「えーっと確か魔力を使うんだよね母さん」


「そうです、人でも魔物でもそこにある木でもどの生物も必ず持っている力、それが魔力です。その魔力を私たちの手で変換させることで魔法を行使できます」


「変換?ってどうやってやるの?よくわかんない」


「変換といってもそう難しい事ではありませんよ、要はイメージです。ただ漠然と水が出ろと思っても魔法は使えません」


 魔法はイメージが一番大切です。どのように魔法を使いたいのかどのくらいの威力が出るのかその事をしっかりと考えていなければ失敗します。もちろん魔力のコントロールも大事です。複雑な魔法になればなるほど難しくなりコントロールを間違えると暴発します。


「魔法を使うときはイメージする....」


「それなら大丈夫かも!」


「あはは、口で言うのは簡単ですけどね、それよりも二人はまず自分の魔力を感じられるようにならなければなりません。少し私を見ていて下さい」


 私は目を瞑って集中し始めました。身体に魔力を循環させそれを周りに出すようにします。

 すると私の周りに魔力が広がり風が吹き始めました。


「うわっなんだこれ!」


「すごーい、なんかピリピリ感じる!」


「どうですか二人とも、周りに出ていた魔力を感じましたか?」


 二人はブンブンと首を縦に振って来ます。密度の高い魔力を出すと今のように他人でも魔力を感じる事ができます。


「今のが魔力です。レインとアリアには自分の中にある魔力を感じてもらうのが目標です。目を瞑って身体の中にあるものを全身に巡らせるようにしてみてください」


「うん、やってみるよ」 「身体の中にある.....」


 私がそう言うと早速二人は集中し始めました。しばらくは見守っていましょうか。


 十分程が経った頃レインの方から微かにですが魔力を感じました。かなり早くて少し驚いてしまいました。


「いいですよレイン出来ています。それを維持し続けて下さい」


「わかったよ母さん、でも難しいなこれ」


「私もっ.....」


 レインが出来た数十分後にアリアからも微かに魔力を感じました。


「おめでとうございますアリア、しっかりと出来ましたね」


「けど、レインに負けたー」


「勝ち負けじゃないと思うけど」


 アリアは少し苦戦していたようですが、レインが早かっただけでアリアも十分早いです。もしかしたらこの二人には才能があるのかもしれませんね。


「二人ともすごいですよ!まさかこんなに早く終わるとは思いませんでした!これなら次のステップに行けますね。次はその魔力を外に出して実際に魔法を使ってみましょう」


「え、もう魔法ってつかえるの?」


「そうですよレイン、本来なら自分の魔力を感じるところで時間がかかるのですが二人はそんな事はなかったのでもう魔法を使います。といってもそこからも難しいですけどね。このようにさっき流した魔力を掌の一点に集中させ身体から出すように意識するんです」


 手を木に向け魔力を集めます。すると何か球体のものが出てきました。


「魔力を集めるとこの様に目で見えるようになります。そしてここからが重要で、出したい魔法のイメージをします。今回は水魔法を使うのでイメージは水、それを球体にする。そしてそれを飛ばし弾けるようにします」


 今言ったようにイメージすると手の魔力は水の球となり木に飛んで行き、当たると弾けました。


「このように魔力を集めてそれをどうしたいかイメージする事で初めて魔法が完成します。どうですか二人とも、出来そうですか?」


「考えても分かんないからとりあえずやるよ!」


「私も!次はレインに負けない!」


「ふふっその意気ですよ、レイン、アリア!」


 それから二人は私がやったように木に手を向けて魔法の練習をし始めました。さぁこれも意外と難しいですがどうでしょうか、案外さっきと同じですぐに出来てしまうかもですね。





 


 さすがにすぐとはいかず一度昼休憩を挟んでもう一度魔法の練習をし始めました。私も二人にアドバイスしながらしばらくやっていると、アリアの手から水の球が出て木に当たりました。


「やった!出来た!出来たよお母さん!」


「えぇ、しっかり見てましたよ。よく出来ましたねアリア」


「うん!今度はレインに勝った!」


「アリアに先越されちゃった」


 魔力を流すことはレインの方が早かったですが、魔力を出すことはアリアの方が早かったですね。その後もアリアは水をいろんな形に変えて飛ばしています。あぁいきなりそんなに魔法を使ったら.....


「あれ?なんか身体が重くて頭が痛い」


「魔法をたくさん使うからですよ、魔力が切れると身体が動きづらくなり最悪立てなくなります」


「え、そうなの?なんで言ってくれないのお母さん!」


 私が魔力切れのことを話すとアリアが私に吠えてきます。


「一度身を持って知った方ががいいからですよ、一度知ればそうならないように気を付けるでしょう?ほら、私の魔力を渡しますからこれで楽になりますよ」


「あ、ほんとださっきよりも楽になった...」


「やった!できた!」


 アリアと話しているとレインが声を上げました。どうやらレインも魔法を使えたようですね。


「出来たよ母さん!」


「おめでとうございますレイン、よくできました。これで二人とも魔法を使えましたね。まさか一日でできるようになるとは思ってもいませんでした。レインとアリアは天才なのかもしれませんね」


 これは冗談で言っているわけではありません。私は昔にも子どもたちに魔法を教えた事がありますが、一日で魔法を使えた子はほとんどいませんでした。なのでそう考えると二人は本当に天才です。


「私たちが天才.....」


「そうなのかなぁ、でもどうして魔力を感じるのは俺の方が早かったのに、魔法を使うのはアリアの方が早かったんだ?」


「魔法といっても色んな種類があります。今回使ったのは水魔法で魔力を外に放出する魔法ですが、この他にも身体に魔力を流して強化をしたり武器に魔力を纏わせたりといった魔法がありこちらは魔力を循環させたり溜めたりする魔法ですね。ですのでアリアは放出系の魔法が、レインは身体に循環や溜めたりする魔法が得意なのかもしれませんね」


 魔力を出すだけが魔法ではありません、身体に流すのや溜めるのだって立派な魔法です。このように魔法はかなり自由がききます。イメージと魔力量、コントロールによってはどんな事でもできる可能性があります。


「そうなんだ、なら俺は武器を使った戦い方のほうがいいのか」


「じゃあ私は後ろで魔法を打つ方がいいの?」


「う〜ん、どちらにしろ魔法はいろんなものが使えた方がいいですし、武器を使った近接戦闘もできるようになった方がいいですよ」


 それにまだそういうのを決めるには早いですからね。もっと様々なことが出来るようになってからでも遅くはないでしょう。


「では、今日はここまでにしましょうか。続きはまた明日、疲れたでしょう?夜ご飯を食べてお風呂に入って寝ちゃいましょう」


「「は〜い」」


 一日の二人の成長が私の予想をはるかに超えて来ましたが、それはそれで良い事です。これからの成長がとても楽しみですね



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