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めんどくさがり屋のカマイタチ

すみませんでした‼︎‼︎

高校のテストがあってちょっと遅れちゃいました...はい。

楽しみにしていてくださった方も

初めて読む方も楽しんでくださると光栄です!


「魔剣を持った少年が依頼を受けたから手合わせして配置を決めて欲しい?」


そう聞き返してくるのは無精髭を生やした二十代半ばくらいの男だ。お世辞にも紳士的とは言えないが、これでも民衆からの人気絶大な超有名騎士なのである。


「はい」


「...どうしても受けなきゃ、ダメ?」


「当たり前です」


...たとえ重要な戦力である魔剣使いとの手合わせをめんどくさがっていても憧れの的なのだ。この「鎌イタチのホワールウィンド」という二つ名を持つこの騎士は、大型の鎌の形をとる魔道具「ホワールウィンド」を手に取ってめんどくさそうに欠伸をしながら歩き出した。


「しょうがないな...さて...魔剣使いさんとやらはもう来てるのかな〜っと」


...やはり紳士的とは言えないな。


ーキューラル中央部ー


「わぁ...凄いよ!たくさん色んなものがある!」


「見物目的じゃないからな?ちゃんと言われた場所まで寄り道しないで行くんだぞ?...それが終わったら好きなだけ買い物に付き合うから我慢してくれ。な?」


流石に都市の中央部は活気がすごい。冒険者の数も多いし、たくさんの屋台に並んだ果物などの食べ物や、洋服や、小物類とそれらを売る人たちの顔が輝いて見える。高級そうな武具や防具も売っているが、魔剣を持っている以上武具は必要ないし、防具を付けようにも動きが重くなってしまいそうで嫌なため着けていない。

しかしホムラは洋服や食べ物を一緒に買ったり食べたりしたいらしい。


「いいの⁉︎やったー!」


...ハナの顔がムスッてしてる。なんかね、すっごいわかりやすく不機嫌であると同時に落ち込んでるような顔をしている。


「ハナも一緒に行こう?」


「...はいっ!」


急に上機嫌な顔になるハナ。感情の起伏豊かすぎやしませんかねぇ...


「...レンくんの女たらし」


...フェアトラークだ。嫌味かこいつ。ハナたちがこんなに可愛いのに俺のことを好きなわけないだろ。もっと男らしい人と付き合うと思う。

指定された場所である闘技場に着いたのだが...何故か大行列ができていた。手合わせだけじゃなかったのか?


「あの《ホワールウィンド》が戦うんだってよ!」


「相手は魔剣使いらしいぞ!どんな戦いになるんだろうな!ワクワクするぜ!」


「おかーさん、あっちの方が見やすそうだよ!」


...なにこれ。依頼主さんが言うには


「作戦を立てる上でどこに配置するかの参考にするからするから、ここにいる騎士と手合わせしてくれ」


って言われたから来たけど...見物客が多すぎて闘技場の中まで入れない。


「なぁ、君が魔剣使いの少年?」


そう聞いてきたのはどこにでもいそうな無精髭を生やしたオッサンだった。しかし周りの人間が彼と俺を囲んで円形にここだけ空いている。

なんか周りの人たちがキャーキャー言ってたりしていてうるさい。


「...そうですけど?」


「そうか、じゃあこっちだ」


と言って腕を掴まれたと思ったら人の海が真っ二つに分かれ、入り口までの道が出来上がった。そのまま歩いていく。


「俺は君から見たら対戦相手のゲイリー・ホワールウィンドだ。君は?」


「俺はレン・フォボスっていいます。よろしくお願いします」


軽く挨拶をしたところで施設内の構造の説明をしてくれた。


「控え室はあっち。次会うことになるのは...舞台の上だな。」


凄まじい殺気。あの時にフェアトラークから向けられた鋭い殺気とは異なる、人間らしいというのだろうか。純粋な殺気ではなく様々な感情が入っている殺気を感じた。これはこれで怖い。負けじと睨み返し言い返す。


「負けませんよ」


するとホワールウィンドはフッと笑い、


「その意気だ」


とだけ言って別れていった。

さっきホワールウィンドさんに指定された待合室に入る。ホワールウィンドさんと言ったか。短いやり取りしかしていないが、只者でない空気を嫌というほど感じた。さっきもそうだが戦う前から気圧されそうなほどの風格と、腕を掴まれたときのあの掌。俺の父と同じ手をしていた。硬くしっかりした手の皮と大きな手。騎士や討伐系の依頼をよくやる冒険者などは武器をよく握っているためにこういう手になるんだそうだ。歴戦の戦士という言葉がふさわしいだろうか。


「負けねぇよ...俺にはフェアトラークと父さんから教わった剣術があるんだからな!」


控え室で右の拳を突き上げながらそう叫ぶ。

父親から教わった剣術で負けたら、父親が負けたことになってしまう。それだけは避けたい。

この勝負、負けられないのだ。


ー闘技場の戦場ー


闘技場の舞台の上に登ると、もうすでに相手の騎士さんは準備ができていたようで、先に舞台の上に登ってきていた。


「...レン、だっけ?魔剣使いなんだよね?剣はどこ?少なくとも俺には見えないんだけど。不可視とかそういう能力?」


「今から出すんです」


「へ?出す?」


いつも通りにフェアトラークを出す。

何もない空間からいきなりその剣が出てきたのを見たホワールウィンドさんの表情には驚愕が張り付いていた。が、すぐに切り替わる。ニヤけたような気が抜けたような、戦闘には似合わない表情になった。この人は戦いを楽しむって感じの人なのか?


「面白いね。空間操作系の能力かな?知ってるかな?現時点で存在している全ての魔剣、魔道具の能力って判明してるんだぜ?魔剣「フェアトラーク」の持ち主さん」


「...この取り出し方はやめた方がいいのかな?戦闘前から能力を使っちゃってるもんな...当たり。この剣はフェアトラーク、そして俺がその持ち主のレン・フォボス。騎士さんは流石に持ってる情報が違うな。」


すると困ったような顔をこちらに向けてきた。


「いや、俺もう騎士じゃねーんだけど...」


「えっ...」


依頼主さんの情報が間違っていたのか?もう騎士ではない、か。どういうことだろう。


「...なあ、そろそろ始めるぞ?」


「はい...」


互いに構えをとる。ホワールウィンドは初手で水平に薙ぎ払うような構えを。俺は剣を後ろに回し水平に構え、姿勢を低くして速攻で突っ込む構えをとる。

あれだけ大きな鎌なら間合いの内側まで入り込んでしまえば勝てるだろうと予測したのだ。


「3...2...1...始め!」


審判が合図を出すと同時に地面を蹴り真っ直ぐ突っ込む。

のこり4m。...そこはもう、彼の間合いの中だった。

彼がニヤけたのが見えたレンは、本能的にヤバいと察した。


「フェアトラーク!」


「わかった!」


即座にフェアトラークに命じて2mくらいの距離を詰める。あと1mくらい詰めてもう一回能力を使った瞬間に魔力が枯渇して俺の負けになる。


ーこんな序盤に使うのはもったいなかったか...!?ー


しかしその判断が間違っていなかったことを、次の瞬間に身をもって知ることになる。

後ろの地面が一気にボロボロになり、突風が後ろから俺を突き飛ばしたのだ。


「へえ〜!今のよく避けたな!流石空間操作系の能力持ってるだけあるなー...久しぶりに本気、出しちゃうか!」


俺が突風を受けてよろけた隙に突っ込んできた。あの大鎌の重量と彼の腕力が乗った一撃を俺とフェアトラークで弾くのは不可能だと判断したため、回避した後に隙をついてカウンターを狙う。恐らくホワールウィンドという名前からして大気操作か風を操る能力。初手の一撃はかなり大きかったため魔力消費も大きかっただろう。魔力は時間経過か他人から譲渡されるまで回復しない。戦闘中に回復できる量はたかがしれているため、魔道具の能力を使えるのは残り1発くらいだと推測。外れていたら敗北を覚悟しなければ。きっと寸止めしてくれるはず...多分。


「うらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」


鎌と地面の間をスライディングで抜ける。

迫る鎌。凄まじい風切り音と共に頭上を過ぎる刃。


ー咄嗟の方向転換はできないはず!ー


あれだけ大きい鎌の重量を振り回すのだけでキツイのに、さらに斬撃の方向を急転換するなど人間にできることではない。予想通り隙ができている。

距離1mほど。もう能力を使わなくても剣身が届くほどの距離だ。


「チェック...メイト!」


しかし剣を振っても擦りもしなかった。

距離が空いていたのだ。1mほどの距離が3mほどまで開いていた。


「...え?」


「俺だって仮にも騎士だったんだ。多少の武術は心得てるさ。音を消して歩いただけだよ?...こんなもんなのかい?フェアトラークに選ばれた、フソウの剣術一家の息子は。まだ始まったばかりじゃないか」


「...まだまだ!」


そう、俺はとんでもなく負けず嫌いなのだ。剣を振ってあたらなかったあの瞬間に、勝てないかもと一瞬でも思ってしまった。負けたくない。仲間を守れるくらいまで強くなりたい。そのためには誰にも負けてはいけない。


ーあの女の子の時と同じようなことを繰り返さないためにも!ー


「誰よりも、強くなるんだ!」


その時フェアトラークが、空間歪曲の能力を使った時とは違う真っ白な、そして暖かい感触の燐光を発した。

体が軽くなる感覚がする。遠くのものもよく見えるし、小さな風もはっきりと感じられる。

そして何より剣が軽い。鳥の羽を持っているかのように軽い。


ーなんだろう、これ。なんか懐かしい感じがする...これならホワールウィンドにも勝てる気がする!ー


証拠も、ない。何故勝てそうなのかと聞かれても、答えられない。でもそんな気がした。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ...」


全速力で真正面から突っ込む。どんな奇策を弄しようと先を読まれるだろう。騎士だった分、実戦経験があるのは向こうのほうなのだ。

なら真正面から突っ込めば、誤魔化しが効かない代わりにチャンスはあるかもしれない。

またあと4mくらいのところで鎌を構えてきた。

風があの鎌に集まっていくのが感じられる。

そして、その風がこっちに向かってくるのまでも。

構わず突っ込む。体にいくつか切り傷ができたが構わない。あいつから一本とれれば俺の勝ちだ。


「『加速する(アクセラレーション・)剣閃(スラスト)』...!届けぇぇぇぇ‼︎‼︎」


突き。真っ直ぐな突き。曲がることなく、止まることもなく、加速していく神速の突き。父親から教わった剣術の中で最も速い剣閃をもって突っ込む。

が、すんでのところで届かなかった。あの大鎌で防がれてしまった。なら何度でも斬りつける。この剣が届くまで斬り続ける。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ‼︎‼︎」


水平に薙ぎ払う。大上段から斬りつける。下方向から切り上げる。切り上げを防いだところで相手の防御が崩れた。すかさず内側に入り込み剣を構える。また突風だ。吹っ飛ばされて距離が離れていく。フェアトラークも刃こぼれしてきた。いかに素晴らしい剣でも刃こぼれはするし錆びていく。しかし構わず突っ込む。

不思議と焦りはない。冷静に、そして着実に見極める。

あいつも息が上がっている...も?

気づかなかった。俺も息が上がっていたとは。そしてあの突撃の時にさらに切り傷が増えていたことにすら気づかなかった。それに気付いてからがおかしかった。体がいきなり重くなり、視界が歪むし、身体中の力も抜けていく。立っていられない。身体中が痛い。何も...見えない。俺を...誰かが、呼んでる?

彼の意識は、そこで暗く沈んでいった。



「レンくん。起きて、レンくん」


「ん...」


目覚めるとそこは、あの場所だった。

赤いレンガの壁の大きな壁がたくさん立っている街。しかし人の気配がしない。音もしないし、店には何も並んでいない。まるでここには俺しか存在していないかのように。


「間違いでは、ないですよ」


あの魔剣の声。どこから聞こえるのか。答えは目の前だった。目の前に天使の羽根を生やした、母そっくりのナニカがいたのだ。そのナニカがフェアトラークの声を発している。何故だろう。気づいてはいけない、気付きたくないと心が叫んでいる。


「ここは私とあなただけの空間です。あなたと私以外にここに存在するのはこの世界のものだけです。しかし...早々にやらかしてしまったんですね。予想以上にここに来るのが早かったのでちょっと困っちゃいました。」


テヘペロっ。って感じの顔でそんなことを言ってきた。ノリは軽いが俺がやらかすのは前提だったらしい。彼女が誰なのか...もう少しで気付けそうなんだ。気付きたくないのに、気づいてしまいそうなんだ。


「俺は一体何をやらかしたっていうんだ?それと...君は誰だ?フェアトラークなのか?」


それが分からないことには話が進まない。

誰だか言えないのならば信頼できない。


「一つめの質問に対する答えです。

あれは、契約内容に基づいて使用された時、または、持ち主の精神が契約内容に心の底から従った時に発動します。この状態になると魔力が大量に消費される代わりに、追加で特殊な能力を手に入れることができます。これを発動できるのは選ばれた人間だけなのですが...やはり、あなたは覚えてないんですね...」


「覚えてない?なんの話?」


「こっちの話です。気にしないでください。

二つめの質問は...まだ答えられません。でも、いつか思い出せますよ。いや、思い出してください。」


その悲しそうな顔は、あの時のあの子と重なった。


ーだって私、人間じゃないんですよ?ー


そこで気づいた。何故気づかなかったのだろう。そう、あの顔は、母に似ているあの顔は、俺の初恋の女の子にそっくりだったのだ。


「待って!君はいったい...」


質問は最後まで言わせてもらえなかった。

途中で世界が瓦解していったのだ。

地面や建物や空まで全てが崩れていく。


「さあ、現実に戻りましょう!ハナちゃんやホムラちゃんが待ってます!」


そんな中見た彼女の顔は、彼が初めてあの少女に恋した時と同じ、太陽のような、しかし無理をして作った満面の笑みのように見えた。












話をしよう...アレは確か2週間前...いや、1週間前だったかな。俺はテスト勉強を始めたんだが...まあ、(数学が)難しかったよ。


はい。唐突にすみません...いや〜大変だった。

学生なんでこういったことも定期的にあるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします!

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