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実の親の死をネタに、実の弟をカモる姉

作者: ぽごちん

 ああ、面倒臭ええ!


 親が死ぬと。

特に、

血を分けた存在が。


 十月二十五日の午前五時半頃、

姉に電話しました。

母が危篤だと。


 妻がウルサいんですよ。

「お姉さんに来てもらうしか無い」


 そして一時間後に、また電話すると。


 「まだ決まっていない!」


 と姉に先制攻撃され。


 (ああ、やっぱりな!

来る気が無いな。

これだから、電話するのが嫌だったんだよ)

そう思いながら、


 「もう、亡くなった」


と応じました。


 この姉は、

『日本人を絶滅させる、最も簡単で確実な方法』の第一話で書いた

『現実の姨捨山』を、

コンプリートしてしまいました。

父が六年前に死亡した後、

一度も、

母に会っていません。

母が死亡したので、

これで確定です。


 この六年間、

姉が何もしてくれないので、

全てを、

私一人でやらなければならなかったワケですが、

そのほうが、

気楽で。


 その後、

葬儀屋に電話して、

基本パック三十五万円に申し込み、

霊柩車の手配等をしていたのですが。


 姉から電話が、

じゃんじゃんかかって来ました。

「家族葬にしろ!」

と、

姉に命令されたり、

姉の夫に、

葬儀屋の料金をチェックされたり。


 実は、

姉の夫は坊主

なのですよ。

葬儀には詳しいのです。


 話はズレますが、

父が亡くなった時に、

『プロ』と言ったら、

義兄にキレられてしまいました。


 その時は、

何故?

「プロではない!」

と、

怒り狂っていたのか?

理解不能だったのですが。


 結局、

【仏教は詐欺】

なのですよ。


 『親の死』という

経験回数がゼロに近い場面に出くわして、

正常な判断が期待出来ない人達を、

カモっているだけなのです。


 義理の兄の場合、

葬儀関連以外の収入は、

ほとんど無いので、

客観的には、

『プロ』としか評価不能なのですが、

『プロ』と表現されると、

我慢出来ない様で。


 後ろめたいんでしょうね?


 話を戻すと。


 母が生きている間は、

ほぼ音信不通状態だったのに、

母が死んだら、

突然、

姉夫婦は積極的になってしまいました。


 面倒臭ええ!


 この夫婦は、

口は出すけど、

何もしてくれないんですよね。

まあ、

それだけだったら、別に良いんですけど。


 しかも、

「通夜は行わず、

湯灌は明日の四時から」

と言ったら、

「今日は行かんでええ♪」

と、

喜ばれてしまいました。


 その後、

葬儀は終わり、

姉夫婦は、

帰って行ったのですが。


 妻から報告が。


 「お姉さん夫婦が、

『位牌を持って行って管理してくれる』

と言ってたよ」

と。

妻は、

姉夫婦の御好意を無下にするのはマズいと判断して、

「お願いします」

と、

言ってしまいました。



 それから二~三日して、

また姉から電話が。

「納骨の日に、

位牌を持って行って寺で管理するから、

永代供養料、五十万円を払って欲しい」


 (えっ?

永代供養って、

墓の無い遺骨とかを預かるシステムじゃないの?

ただの木の位牌の預かり料が五十万円って?)


 その後、

母の戒名を墓誌に刻んでもらうために、

石材店の社長と、

墓で会いました。

雑談していた時に、

相談してみると、

「その五十万円は、

本部への登録料でしょ」


 (確かに!

永平寺へ納めるのなら、

五十万円くらい取られるかも?)


 石屋の解説では。


 今は、

地方の小さな寺は、

どんどん潰れて行って、

一人の坊主が7~8軒の寺を担当しているのが、

普通なのだそうです。

義兄に何か有った場合に、

本部へ登録して有れば。


 そこで、

姉に、

永平寺に登録するのか?

聞いてみると。


 「しない」

と。

さすがに、

百戦錬磨の石材店の社長も、

自分の親の供養を名目に、

兄弟に五十万円も請求する坊主がいるとは、

夢にも思わなかったようです。


 

 姉の説明に拠ると。


 寺で、

三十三回忌までお経を上げて、

一回の読経料が三万円なのだそうです。


 「三十三回忌って?」

声を出して笑っちゃいました。

だって、

三十三回忌の時には、

義兄は九十七歳なんですけどね。


 こんなのに騙される人は、いるんでしょうか?


 いるんですよね。


 もし、

いなければ、

永代供養なんて言葉自体が無いですよね。


 私は、

寺の内部事情が、

ある程度、

想像がつくので。

それに、

寺の代替わりの掃除も経験しています。

姉夫婦が、

岐阜の寺を引き継ぐ時に、

掃除の手伝いに行ったので。

古い位牌なんて、

代が替われば、

ゴミですよ。


 でも、

OKしました。


 目的は、

姉の口座に金を振り込む事です。


 『現実の姨捨山』にも書きましたが、

私は、

亡くなった父から、

「姉に金を送るように」

と、

郵便局の通帳を渡されたんですよ。

その通帳は、

郵便局しか無い田舎に住んでいる姉に

お金を送る専用の通帳

です。

郵便局から郵便局へ送ると、

振込手数料が安いらしいので。


 母に、

「お金は有るの?」

と聞かれて、答えたら、

「そんなに有るなら」

それで、

一回だけ、

二十万円を送りました。


 亡くなった両親が、

最も望む選択をしただけです。


 姉は、

「納骨の日に、

五十万円を手渡して欲しい」

と言って来たのですが、

それだと、

姉の夫にお金を渡す事になってしまうので。


 「相続放棄が済めば、

母の口座から、

お金を下ろせるので」

と嘘を言って、

姉の郵便局の口座へ振り込む事にしました。


 相続放棄は、

姉が言い出した事で、

私としては、

どうでも良いんですよ。

不動産とか、借金とか、保証人とか、

ややこしい話が無いので。


 現実には、

相続放棄をしてもらっても、

ほとんどメリットは無い

と思います。

当たり前ですが、

メリットが有る様でしたら、

相手が絶対に放棄しないですしね。


 唯一、有るとすれば、

銀行から、

母の預金を下ろす時ですかね?

手続きが楽になります。

でも、

普通は、

この煩雑さを嫌って、

親が死んだら、

速攻でキャッシュカードで引き出すんですけど。

私の場合、

母がキャッシュカードを亡くしてしまったので。


 それに、

相続放棄をしてもらえば、

姉夫婦が、

相続放棄を餌としてチラつかせられなくなるので。



 さて、

納骨の当日。


 姉の夫から、

「姉の口座に振り込むのはダメ」

と、

寺の口座への振込用紙と請求書を渡されました。


 そりゃ、

気付くか!


 私が姉の口座番号を知っている時点で、

親の遺思が丸見えでしょう。

義兄も、

私の両親が姉にお金を送り続けていた事は、

知っていた様です。


 私から金を恵んでもらう事は、

義兄のプライドが許さないか?


 本当に、

面倒臭ええ!


 しかし、

請求書を出す事は、

宗教活動ではなくて、

経済活動なのでは?

これじゃあ、

完璧な『プロ』ですよね?


 それに、

もし、仮に、

死人の供養が、

宗教的に価値の有るものであれば、

私が金を出さなくても、

姉夫婦が率先してやってくれるでしょう。

姉夫婦の親でもあるんですから。


 でも、

義兄は、

やりたいなら、

金を振り込めば

みたいな感じで。


 そのまま放置していたのですが。


 姉は、

私から金をカモる事に、

執念を燃やしているようです。

相続放棄の証明書を送り付けて来て、

私に金を請求して来ました。

相続放棄をしてしまえば、

餌としてチラつかせても、

もう無駄なのに。


 五十万円と言えば、

ブラック企業で一ヶ月間地獄に耐えても、

貰えない金額ですからね。

当然か?


 





 


 


 


 


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― 新着の感想 ―
[良い点] 親が亡くなるとマイナスの遺産に悩まされますよね。 小さいけど、しつこくてタチが悪いのはNHKとか。 普通の人に33回忌とか変ですよね。 偉人ならともかく。 一族が大勢だったらシャレにな…
感想一覧
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