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終焉の本を読んでいた男  作者: 帽子屋 黒兎
2/13

セカイノシュウエン.1

どうも、帽子屋 黒兎です。セカイノシュウエンは、いわゆるプロローグにあたります

どうやら世界がそろそろ滅ぶらしい。それを聞いたのは、日本時間で四月一日のことだった。いくらなんでも悪質な嘘だな、とその日は思って過ごした。次の日もその話を聞いた。発信源はアメリカらしい。あぁ、そうか。今向こうは四月一日だ。手が込んでいるな、とその日は思った。しかし、次の日も同じニュースをやっていた。まさか、とは思うものの、同時にもしかして? とも思い始めたその日、()()()()()()()()()()()()()。慌ててそれぞれの携帯電話に電話をかけても反応がなく、ネットで情報を集めようにも嘘か本当かわからない話ばかりで、全く役に立たなかった。

 それから二週間後、僕が知っている場所から一切の人影が消えたころ。打ち捨てられた新聞に、この現象に対する有力な説とやらが載っていた。

 なんでも、イギリスからぱっくりと割れていくようにこの星から一定以上の知能を持つ生命が何の前触れもなく、そして跡形もなく消滅していくのだという。原因も、もちろん不明。

 じゃあなんで僕は消えていないんだ、と叫びたかったが、叫んだところで意味がないし、誰かが答えてくれるわけでもない。僕の知能はニホンザルの赤ん坊以下だというのだろうか。

 もし死ぬのなら、行先はやはり家族と同じところがいいと、家の台所で包丁を握ったところでふと気づく。果たして普通の手段で死んで、同じところに行けるのだろうか、と。わからないが、このとき僕の勘は『無理だ』とわめいていた。あるいはそれは生存本能という奴だったのかもしれないが、僕は従来の手段で自殺することをやめた。

 とすると、信じられるのはとりあえずあの記事だけだ。なので僕は本を読むことにした。家にあった本はほとんど僕の既読本なので、一週間とかからずに読み切ってしまった。さて次は地域の図書館にでも行こうかと思ったところで、気が付いた。この国で発行された本は首都にある国立大図書館にすべて保管されているはずだ、と。

 本来は面倒な手続きが必要らしいのだが、どうせ僕以外はいないのだから、かまわないだろう。

 思い立ったが吉日と、必要そうなものをリュックサックに詰め込んで歩き出した。途中で電気街にある武器店と観光地にある武器店によっていくつか拝借してきた。ここまでの間にも食料などを店……店舗跡、というべきだろうか? 要するに元コンビニ、元スーパーマーケットから缶詰を盗っているので、罪悪感はかなり薄くなっていた。


二日目です。

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