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番外編Ⅲ、菓子与えるか悪戯受けるか(Ⅰ)

「久しいな、友よ。実に半年ぶりではないか?」


「よぉクソメガネ、久し振りだな。俺はてっきり、彼女さんとよろしくやってる間に忘れられたかと思ってたよ」


「言うな」


 クソメガネは渋面を作って吐き捨てた。


 そう、俺とこのクソメガネ──最近視力が2.0あることが判明した伊達メガネの友人──は、実に、約半年ぶりに顔を合わせていた。半年前までは今俺が住んでいる部屋でシェアハウスをしていたのだが、諸々あってこの伊達メガネ野郎は半年ほど留守にしていたのだ。いやはや全くもって、メガネのそれは裏切り行為に他ならず、あの時ほど奴との縁を切ってやろうと思ったこともなかったが──しかし、俺には分かっていた。こうしてまた、伊達メガネがこのシェアハウスに戻ってくるこの未来が。


 そう。事は、あの初詣の後──二月にまで遡る。







 薄々お察しかとも思うが、その日の日めくりカレンダーは、四やら九やら十三やらよりもずっと忌まわしい数字、即ち「十四」を示していた。


「お早う、友よ。清々しい朝だね」


「おはようクソメガネ、日本語は正確に使えよ。『いっそ清々しい朝』ってな」


「違いないな」


 大ジョッキ一杯分の苦虫を一気に噛み潰したような顔をするメガネに、俺は追い打ちとばかりに朝食を出してやる。今朝のメニューは当然のように、チョコレートソースを過剰なくらいたっぷりかけたパンケーキだった。


「……胸焼けがしそうだな」


「おいおい、今日一日こんなのよりずっと甘々なカップル予備軍共のやり取りを見せつけられるんだぜ。これくらい慣れておかないでどうするんだ?」


 今までになく俺の気が立っていることを察したらしいクソメガネは、黙ってパンケーキを頬張った。──しかしまぁこれ、去年メガネが出してきやがったチョコフォンデュよりは数億倍マシだと思うんだが、どうだろうか? 朝食にだぞ。それに比べりゃパンケーキだなんて、優しいにも程がある。ナイチンゲールも裸足で逃げ出す優しさだ。うーん、俺としたことが、また徳を積んでしまったな。来世は東京のイケメン男子にしてください。

久しいな、友よ。


……という訳で、バレンタイン&ハロウィン編、開幕です。(

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