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番外編Ⅱ、豆を撒くか海苔巻き食うか

リア充イベントが発生する限り、こちらのクソ小説は不滅です。

「諸君。次に僕らに会うのはヴァレンタインだと思ったろう。──残念だったな。奴等(カップル)には二月の十四日まで待つことなど出来なかったのだ、友よ」


「お前誰に向かって喋ってんの?」


 男二人のシェアハウス、手狭なリビングダイニング。輪ゴムを渡した赤いお面らしきものを頭に巻き、一升枡を片手に持ち、もう片方の手ではメガネをクイと持ち上げる──そんな友人が、何故かカメラ目線で謎のナレーションを入れ始めた。現在の状況はざっとそんなところだ。


「友よ。今日は何月何日だ」


「あ? 二月三日だろうが」


「そうだ、友よ。つまり節分だな」


「あぁ、お前それ、その赤いの……鬼のお面のつもりだったの?」


「それ以外に何があるというのだ、友よ」


 気を悪くしたように言うメガネ。悪いが俺は三秒前まで鬼灯のお面だと思っていたところだ。一文字しか違わないし、まぁ惜しいと言えば惜しいかもしれないな。


「僕らにはヴァレンタインにも登場する役目がある上、今日思い立って今日書き始めたからそう長くは語れないのだがな、友よ」


「誰目線なのお前?」


「節分に豆を撒く習慣は、元々『魔滅(まめ)』──つまり、『魔』を『滅する』という語呂合わせからきているんだ、友よ」


「お前って何気に雑学抱負だよな」


 俺はメガネと違って雑学ヲタクではないので、さして興味がないという意思を示すべく雑な相槌を打っているのだが、如何せんこのメガネのことだ、そんなことで察してくれる筈がない。早く恵方巻きを食べたいという俺の意向は完全に無視され、メガネの雑学講座は続いた。


「しかしだな、豆は『魔目』とも書き、どちらかといえば『魔』そのものなのだよ。つまりあれは魔を家中にばら撒く行為だ、友よ」


「……こじつけじゃねえの、それ……?」


 お前節分に恨みでもあんのか。


「恨み? あるね、大いにある。そう、それは五年前のこと──」


 待て。長い話は御免だ。

 何を回想シーンに入ろうとしていやがる。


「ふん。まぁ良かろう、端的に言うと、僕は二月のリア充イベントはヴァレンタインだけだと信じていたのに、豆撒きをしながらイチャイチャする奴等(カップル)を見てしまったのだ、友よ」


 そうかい。

 俺は微塵も興味ないね。間違っても羨ましいと思ったり、今お前の話のせいで節分に恨みが出来たりなんかしちゃいない。断じて。


「まぁそういう訳だ、友よ。我が家での節分は今年から中止として、海苔巻きを食べるのみにとどめようじゃないか」


「俺たちがいつまでもこうして独り身なのってこういうところな気がしないでもないけどな」


 ──こうして我が家から、節分が消滅したのであった。



「雑な文章で申し訳ない、友よ。何せ二月十四日の投稿分を書くのに忙しいんだ。その時にはもっと奴等(カップル)共に恨みのこもった僕らの日常を提供するから許してくれたまえ」


「だからお前は誰に向かって喋ってんの?」

次回更新はお察しのとおり二月十四日です。お楽しみに。

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