第1話
静かな昼下がり…
高価な家具がたくさん置かれた、だだっ広い部屋の片隅で、二つの影がうごめき合っている。
キングサイズのベッドの上に、まるっこい影と細い影。
二つの影は、ぎしぎしと音を鳴らしながら交わっていた。
「ああっ…!!」
「…あれ?奥さん…もしかしてもう終わり?僕まだなんだけど」
肉の塊のような身体にまたがりながら、少年はにやりと笑った。
「だってあなた…とってもお上手なんですもの」
まるで乙女が恥じらうように、婦人は答えた。
「はあ…しょうがないな」
少年はそうつぶやくと同時に、自分の体を激しく揺さぶった。
「んあっ」
女性は思わず叫び、再び恍惚の表情を浮かべた。
「はあ…終わり」
少年は余韻に浸ることなく、さっと身体を起こし脱ぎ捨ててあったシャツをさっそうと羽織る。
「はあはあ…ジュリアン、もう行ってしまうの?」
女性は身体にまとわりついた肉をたぷたぷと揺らしながら上体を起こした。
「そうだよ。だって夕方には旦那さん帰ってくるんだろ。痛い目に会うのは僕じゃなくて奥さんじゃないか」
「まあ…そうね」
婦人は、少年…ジュリアンの機嫌を伺うように笑った。
そうこうしているうちに、ジュリアンは服を着替え終え、さっさと帰る準備に入っていた。
その様子を、婦人はうっとりしながら眺めている。
するとジュリアンは不意に「奥さん…」と言いながら、何かをせがむような目で婦人の方を見つめた。
「あ、そうそう、そうだったわね」
婦人は慌てて、裸のままいそいそと鏡台の方へと走る。
それはなんとも惨めったらしい姿だった。
彼女は鏡台の引き出しから財布を取り出し、札を何枚か抜いた。
そしてそれをレース付きの白いハンカチに包み、彼のもとへ向かった。
「はい、ジュリアン。今回の分」
白いハンカチごと彼に渡す。
「お金だけでいいよ。奥さんのでしょこれ」
「いいのよ…ジュリアン。これ、次会うまで持ってて?それまで、このハンカチ見て私を思い出してね」
熟女は少女のようにっこりと笑った。
「…」
ジュリアンはそう言われると、黙ってハンカチごと受け取った。
彼がズボンのポケットに札入りのハンカチを入れるや否や、婦人は裸のままジュリアンをぎゅっと抱きしめた。
少年の細い体が、肥満女性の体内に飲み込まれそうであった。
「ねえジュリアン…次はいつ会えるかしら?」
「そんなの…奥さんがお望みとあらばいつだって会いに行くよ」
「あら本当?今日会うのだってとっても大変だったのよ。あなたは人気者だから…」
「そんなことないよ、ほらこっち見て…」
ジュリアンはそう言ってそっと婦人を起こし、優しく口づけした。
「ん…」
婦人は先ほどと同じような表情で、彼に身を任せた。
「じゃあね、またよろしく」
婦人にとって夢のようなひとときは一瞬にして終わり、少年は不敵な笑みを浮かべながら去って行った。
彼女は名残惜しそうに、彼が見えなくなるまで見送った。
立派な門扉を抜け、ジュリアンは外に出た。
そしてさっきまでの子猫のような表情から一変して、そこいら辺の不良たちと変わらぬ表情でこう言い放った。
「ちっ…あのくそばばあ、てこずらせやがって」
そうして彼は、口をシャツの袖でごしごしと拭き、門扉に唾を吐きかけた。
まるであの婦人に向かって吐きかけるかのように…
拭いたシャツの袖には、口紅がべっとりとついた。
彼はそれを恨めしそうに睨んで、腕まくりをしながらすたすたと町へ向かった。
◇
ジュリアンが向かう町は小さいが、一歩町から離れると田畑が広がるこの田舎にしてはいつでも人で賑わっていた。
町はずれに住む者も、物入りのときはわざわざ出向くほど、なんでも揃っている場所である。
ジュリアンが歩いていると、町へと続く橋の辺りで、少年たちがたむろしているのが見えた。
彼は気にせず進もうとすると、少年の一人がジュリアンに話しかけた。
「よおジュリアン、今日も”お仕事”かい」
「まあね」
「どうだった、収穫のほどは?」
「別に。金持ちのばばあのくせにこれっぽっちさ」
「そんなこと言って、俺らの小遣いの何十倍稼いでるつもりさ」
そう言われ、ジュリアンはにやっと笑ってみせた。
「しっ」
その時、別の少年が彼らを制止した。
「ドミニクのやつ、やるみたいだぜ」
にやにやした顔で、少年たちは静かになる。
ジュリアンは、少年らの中でもひときわ大柄な少年に目をやった。
ドミニクは、緊張した面持ちで何かに視線を送っている。
ジュリアンが、彼の目線の先をみやると、遠くの方に少女の姿が見えた。
彼女がだんだん近づいてくる。
漆黒の髪に、真っ白な肌の、美しい少女だった。
年齢より少し大人びているように見えた。
その様子を見て、ジュリアンはドミニクが何をしようとしているのか悟った。
それと同時に、彼の腐った性根がうずき出した。
ドミニクが彼女に声をかけようとした次の瞬間、
「はっ!お前みたいな見てくれの悪いやつが、あんないい女捕まえようってのか!身の程を知れよこの木偶の坊!!」
ジュリアンは嘲笑いながら、大声でドミニクを罵った。
それを聞いた少年たちは驚いてジュリアンの方を振り返った。
ドミニクも同様であった。
一方、黒髪の少女はその様子を不思議そうに眺めながら、すたすたとその場を通り過ぎてしまった。
「おい、ジュリアンなんてことしたんだ!ドミニクは今日にかけてたんだぞ」
「そうだぞ、俺たちもドミニクがうまくいくかどうか賭けてたん…」
「おい!ばか!」
少年たちはジュリアンを小声で責め立てた。
怒るというよりも、迫りくる恐怖におびえているといった面持ちであった。
「おい…ジュリアンお前…ふざけんなよ…」
少年たちの後ろから、愛の告白に失敗した大柄な少年が、鬼のような形相で立ち上がった。
少年たちは、予想通りの展開にたじろいだ。
そんな様子を、ジュリアンはものともせず平然とした態度で見つめていた。
「だってそうだろう。お前なんかに声かけられちゃ、あの子も迷惑だったに違いないさ」
「てめえ!!ぶん殴られてえのか!!」
怒りにまかせてドミニクが拳を振り上げると、少年らが慌てて取り押さえた。
そのすきに、ジュリアンはするりとその場を離れ、橋の方へと駆けて行った。
「おい!待てこのやろう!逃げんのか!!」
「うるさい!お前のパンチなんか受けてたまるか!」
追いかけようとするドミニクを、少年らは必死で抑えつける。
「ドミニク落ちつけよ!またチャンスはあるさ!」
「うるせえ!俺はあいつがむかつくんだよ!離せ!」
ジュリアンは橋の途中ではたと立ち止まり、少年らの滑稽な様子を見つめ、せせら笑った。
「ははは、ばかじゃないの。一人で暴れちゃってさ!凶暴な猿みたい」
ジュリアンが遠くで自分を笑っていることに気付き、ドミニクの怒りは頂点に達した。
そして、暴れながらこう叫んだ。
「ジュリアン!!お前なんか死んじまえ!娼婦の息子なんか死んじまえよ!!!」
その言葉を聞いて、上機嫌だったジュリアンの表情は一変した。
「そうだそうだ!さっさとうちかえって寝ろよ!お前さん、夜が長いんだろ!!」
ドミニクに便乗して、少年らも加勢した。
ジュリアンはそこいら辺に転がっている石ころをつかみ、少年らの方へぶんと投げた。
「おっと」
石は誰にもあたらず、虚しく転げ落ちた。
「ちっ」
ジュリアンは悔しそうに舌打ちをして、その場を駆け足で離れた。
「あのやろう…今度会ったら絶対ぶん殴ってやる」
「ドミニク、でもその前にアリーヌが先だろ」
「…」
ドミニクは急にしょんぼりした顔になって、うつむいた。
そんなドミニクを見て、先ほどジュリアンに話しかけた少年は罪悪感を覚えていた。
(俺があいつに話しかけなければなあ…もしかしたらうまくいっていたかもしれない。
でもジュリアンも悪いぞ。あいつは見てくれはいいが、根性が悪すぎる。
それに自分も母親と同じようなことやってるくせに、娼婦の息子だとからかわれると鬼のように怒り狂うし…。
全く、矛盾してるよ)
彼は一連の出来事に疲れたように、はあとため息をついて、もうジュリアンがいるであろう町の方をぼんやり眺めた。
◇
ジュリアンは本当に美しい少年であった。
ふわりと風になびく金色の髪の毛、それと同じ色の長いまつ毛。
すっと整った鼻筋に、陶器のように白い肌に映える真っ赤な唇。
すれ違う人々が、思わず振り返ってしまうような、美少年であった。
ジュリアンはそんな人々に目もくれず、すいすいと足早に通りすぎ、店が軒を連ねる町の中央広場に出た。
その中の一軒の扉を開け、バタンと音を立てて閉める。
店内は色とりどりの生地や、美しい衣服が展示されている。
ここはこの町でただ一軒しかない、生地屋兼仕立て屋であった。
彼が店に入って来るや否や、店番をしている店主の中年女性は、あからさまに嫌そうな顔をした。
「…いらっしゃい」
「なんだよその顔」
「別に」
ジュリアンは店主が自分を歓迎していないことを察し、不愉快そうな顔で彼女がいるカウンターに向かう。
「で、今日は何の用だい」
「服が欲しいから来たに決まってんだろ。今一番流行ってる感じのやつ」
その言葉を聞いて、店主はあきれながらこう言った。
「お前さん、先月も同じような注文したみたいだけどさ、流行なんてそんなすぐ変わるもんじゃないんだよ!
全く、服だけいいもん着て、中身はそこいらのガキと変わらないんだねえ」
おかしそうに、彼女は笑う。
「…」
ジュリアンは、無言で店主を睨みつけた。
「じゃあこれと同じやつでいいよ!僕の寸法はわかってるだろ。ここにお金あるから」
不機嫌そうに自分が着ているシャツをつまみながら、ポケットをまさぐった。
そしてカウンターにどん、と叩きつける。
しかし、持っていたのはお金が包まれた白いレースのハンカチであった。
彼はそれを見て、昼間自分と触れ合った、太った婦人のことを思い出した。
”このハンカチを見て、私を思い出してね”
言われた通りその婦人を思い出してしまい、ジュリアンはますます機嫌が悪くなった。
彼は舌打ちしながらハンカチからお札を取り出して、そのうち何枚かを店主へ差し出し、それ以外は自分のポケットに戻した。
そして残されたハンカチは、店の床に投げ捨てた。
「ちょっとジュリアンさん、人の店でゴミを捨てるんじゃないよ。しかもなんだい、それ女物のハンカチじゃないか」
「うるさいな、黙って捨てといてよ。じゃ、また1週間後くらいに来るから用意しといて」
ぶっきらぼうにそう言い残し、彼は店を出て行った。
店主は、相変わらず不機嫌そうな顔をしながら、
「どうすればあんな非常識な人間に育つのかね。町の娼婦だって、もっと控えめでたおやかだってのに」
とつぶやいた。
すると、店の奥から若い針子が出てきて店主に訪ねた。
「女将さん、もしかしてジュリアン来てたの?!」
「ああ、今さっき帰ったとこさ。おかげで私のご機嫌まで持ってかれちまった」
「そうだったの?!なあんだ女将さんったら、来てるなら声かけてくれればよかったのに!」
「なんだいお前、あんなのに気があるのかい」
「そういうわけじゃないけど、だってあの子可愛いじゃない。それになんだか…色っぽいわ、ふふ」
いかにも軽薄そうな雰囲気の、10代後半の女性である。
店主はあきれたように、はあとため息をついた。
「年下の男を色っぽいだなんて…お前は本当に馬鹿だね。あ、そんなことよりお前、そこに落ちてる…」
店主が針子に床に落ちたハンカチを拾うよう指示したそのとき、店の扉がガチャリと開いて、一人の少女が入ってきた。
「いらっしゃい」
店主はさっきまでの表情とはがらりと違う、愛想のいい顔つきになった。
「こんにちわ」
少女はにっこりと笑った。
針子はつまらなそうに、自分の仕事場へと戻っていった。
「久しぶりだね、今日はどんな用だい」
「ええ、少しお金に余裕ができたから、冬が来る前にうちのおばさんにショールを編んであげようと思って…。
今日は毛糸を買いに来ました」
「ああそうかい、ゆっくり見て行っておくれよ。少しだけど、安くしてあげるから」
「まあ嬉しい、助かります」
少女は申し訳なさそうにほほ笑んだ。
それを見て、店主は少し切なそうな顔をした。
(そんなことより、まず自分の服をこしらえればいいのにね…。その服、いったいいつから着てるんだろうか)
少女は、たいそうみすぼらしい恰好をしていた。
流行の服とは程遠い、おそらくもっと子供の時からのものであろう、深緑色の地味なワンピースを身に着けていた。
とても痩せていて、髪すらもちゃんととかせていない。
同年代の少女達と比べると、かなり見劣りする身なりであった。
(かわいい子なのに…そんな余裕もないんだろうね)
店主は少女を同情の目で見ていると、
「女将さん、床にハンカチが落ちているわ」
少女はハンカチを拾いながらそう言った。
店主は先ほどのいけすかない少年を思い出し、うんざりした表情になった。
「ああ…さっき来た客が落として行ったんだよ。捨てといて、だってさ。後で拾おうと思ってたんだ」
「あら、これ捨てちゃうの?こんなきれいなハンカチなのに…」
「なんなら、あんたにやるよ」
「だめよ、こんな高価なもの、受け取れないわ」
彼女にとって、レース編みのハンカチは高級品であった。
「そうだわ、私落とした人に今から届けるわ!どんな方でした?品のあるご婦人かしら?」
それを聞いて、店主は思わず吹き出した。
「いや、上品でもご婦人でもないよ!非常識で性根の腐ったガキさ!」
「ガキ?私と同じくらいの子かしら?」
「そうかもしれないね、ただし、女の子じゃないんだよ」
「まあ、男の子なの?!」
彼女はびっくりして、ハンカチを見つめた。
その様子がおかしくて、店主は笑いが止まらなかった。
「ははは、ああおかしい。ま、見てくれは女みたいなやつだけどね。器量良しの大馬鹿野郎さ」
「きれいな男の子なのね」
少女は微笑んだ。
「じゃあ、少し探してきます!」
そのあと、少年のだいたいの特徴を聞いて、少女は店を出た。
(まあ、受け取らないと思うけどね…)
店主は小さく笑いながら肩をすくめた。
◇
少女は店を出て、きょろきょろと左右を見やる。
(困ったわ、それらしい人が見当たらない…もう家に帰ってしまったのかしら)
とりあえず、彼女は左の方へ歩いて行った。
この町はいつでもにぎわっている。
料理屋、鍛冶屋、帽子屋、居酒屋、宿屋、そして…
とにかく、この町にくればなんでも事足りるのであった。
少女は普段あまり赴かないこの町を、楽しげに眺めていた。
(今度、おばさんを連れて来よう。何も買えないけど、見るだけでもきっと楽しいわ)
ふふ、と小さく微笑んでいると、前方に露店が並んでいるのが見えた。
(果物だわ。おいしそう…でも買えない、残念)
彼女は売り物につい目がいってしまっていたが、そのあとすぐ客の存在に気付いた。
(あれは…)
果物屋の前で勘定をしている少年を見つめる。
ふわふわと風になびく金髪、美しい横顔。
シャツは腕まくりをして、すらっとしたズボンを履いている。
(きっとあの人だわ…でも違っていたらどうしよう…)
彼女が躊躇していると、少年は果物屋から小包を受け取り、すたすたと行ってしまった。
すると彼女は慌てて駆けだした。
「あ、あのっ…」
勇気を出して、彼女は少年に声をかける。
少年は自分が呼ばれたのに気付き、振り返った。
愛想のない、睨みつけるような表情であった。
「あの、あなた、ジュリアンさん?」
少女は仕立て屋の店主に聞いていた名前を、彼に尋ねる。
「そうだけど」
それを聞いて、彼女はほっとした。
「よかったわ!あのね、これ、あそこの仕立て屋さんで落ちてたの。
女将さんがあなたのだって言うから、渡しに来たんです」
そう言って、彼女はきれいに折りたんでおいた白いハンカチを差し出した。
それを見たジュリアンは、あからさまに迷惑そうな顔をした。
「は?これ僕のじゃないし。人違いじゃないの」
どうしてもそのハンカチを受け取りたくなかった彼は、とっさに嘘をついた。
確かに、彼のものではないのだが…
「そんなはずないわ。だって女将さん、ジュリアンっていう私と同じくらいの男の子のものだって言ってたもの。
あなた、ジュリアンっていうんでしょ。それに…」
少女は話を続けた。
「それに女将さん、その子は器量よしだとも言っていたわ。
あなた、とってもきれいだもの、間違いないわ!」
まっすぐな瞳で、少女はそう言い放った。
彼女は見ず知らずの少年に対し、普通なら照れてしまうようなことを、あっけらかんと言ってのけたのである。
そんな彼女に、ジュリアンは一瞬たじろいだ。
「だから、はい、あなたに返すわ。物は大事にしないと罰が当たるわよ、さようならジュリアン!」
少女は無理やり彼の手にハンカチを押し付けて、笑顔で去って行った。
ジュリアンは二度とお目にかかりたくなかった白いハンカチを握りしめ、少女の後ろ姿を恨めしそうに眺めていた。
◇
(さて、あの子はどうなったろうねえ…)
仕立て屋の店主は、先ほどの少女のことを考えていた。
(ヘタなことしたら、あいつに唾でも吐きかけられるかもしれない…あいつは人を人とも思ってないような人間だからね)
そんなことを思い、彼女は少女をジュリアンの元へ向かわせたことを後悔した。
すると、店の扉が開き、少女が中へ入ってきた。
先ほどと同じ笑顔に、店主はほっとした。
「やあ、お帰り。どうだった、やつは見つかったかい?」
「ええ、女将さん。果物屋さんのところにいたわ」
「で、ハンカチは?ちゃんと渡せたのかい?」
「ええ!渡したわ!素直に受け取ってくれたわ」
「え?素直にだって?」
「うーん…まあ最初は自分のじゃないだなんて言ってたけど、最後は自分のだと認めたみたい」
そう言って、彼女はにこにこと微笑んだ。
店主は目を丸くして彼女を見つめた。
(てっきり撒かれるかと思ったのに…まあとにもかくにもジュリアン、してやられたね)
店主はにやりと笑ってこう言った。
「あんた、将来きっと大物になるよ、エリザ」
「あら、何言ってるの?女将さんったら!」
エリザという名のみすぼらしい少女は、明るい声で笑った。




