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A Deal with the Devil



 「それで、取引って何を求めてるのかな? 食料?」


 「そうですね。まずは開拓村の備蓄などをお願いしたいですね。あとは異世界の物で珍しいもの等があればいいのですが……。」


 エリオナからすれば棗達の故郷である地球の物など想像がつかなかった。

 下着ひとつとっても質の差があると知らないのだ。


 「ま、文明が数世代遅れてるそっちからしたらアタシらの世界の物なんか想像つかねぇよな。こういうのはマコや汐路の知識が必要になるんじゃぁねぇか?」


 「え? 何でマコちゃんと汐路ちゃん?」


 華音は首を傾げた。


 「そりゃ、逆にいやぁアタシや華音はこういったファンタジーな世界が想像つかねぇ。精々ファンタジー世界の元になってる中世ヨーロッパを想像する程度だ。だが魔法なんていうトンチキがある以上暗黒時代の中世なんかと一緒だとも思えねぇ。 この世界じゃ窓から外に向けて糞をぶちまけてる様子もねぇしな。」


 「あー 中世のヨーロッパってそんなのだったんだっけ。 ハイヒールも踏まないようにだし日傘も被らない為だっけ?」


 エリオナは棗と華音の会話に顔をしかめた。


 「ま、そいつが本当の話かは知らねぇがな。それに魔法の道具だっけ?そういうのもあんだろ?それこそ、アニメにでてくるようなトンチキアイテムやら武器があるならそういうのに詳しそうなマコや汐路なら予想がつくんじゃぁねぇか? どうだ?」


 そういいマコと汐路に意見を求める。

 マコは棗や華音と知り合う前は人見知りでボッチな内気なインドア少女だった。

 アニメやゲーム、果てはvtuberという物にはまっていた。

 そして汐路もまた大学デビューした元陰キャだった。


 「う、うん。ア……アニメだと……こういう商人系の話も……あったよ。 こ、香辛料とか安く手に入れた差額でがっぽり。」


 テーブルから食器を片付け、食後のコーヒーを入れていたマコがアニメの知識をもとに答えた。


 「あとはガラス瓶とか。作品によってはライターやマッチなんかも対象だったかな。」


 「そういやぁグレッグがアタシのオイルライターを見て驚いてたな。だがいくつかアニメやそう言ったもんじゃ描かれてないことを忘れてないか?」


 「え?何? ゴミの事?」


 「まぁプラゴミとかもあるだろうが……。確実に経済がぶっ壊れるし失業者がわんさか出る。 アタシは別にこの世界の住人。それこそ名前も知らねぇ奴が路頭に迷おうがどうなろうが知ったこっちゃねぇけどな。だがお前らは絶対あとで責任を感じる。だからその辺はよく考えるべきだ。」


 エリオナは、棗をただ口汚く傍若無人でモラルのない人間だとは思っていなかった。

だが、ここまで先を見て、周囲への影響を計算できるとは想像していなかった。


 「じゃぁ 供給を絞るとか?」


 「あとは需要があってこの世界でも存在するけどオートメーション化されてないから大量生産できないもの?」


 マコや汐路、華音が互いに意見を交わしていく。


 「ほかにも考えなきゃなんねぇことがあるぜ? アタシらの放出する優れたモンのせいでこの世界の技術が失われるかもしれねぇってこった。

今だけを考えて、未来のことを疎かにしちゃなんねぇ。この世界にも和紙やパピルスのような植物繊維の紙はあるだろうがアタシらの世界の紙を市場に出せばおそらくその職人は職を失う。アタシらが生きてるうちはまぁ供給できるが精々100年だからな。 ま、職を失うのは精々この領の人間だけだ。

 世界中の職人がアタシらのせいで職を失うことなんざぁねぇが、アタシらの品が流れりゃ今はこの領地は栄えるがアタシらが死んだあとは確実に他の領土に差をつけられちまうぜ?」


 「そんなもんかなぁ?なっちゃんはそこに職人さんの意地なんかを考慮してないんじゃない?」


 「どうだかねぇ 想像もつかねぇ技術ってのは心折っちまうもんだぜ?」


 そう言い、棗は真剣なまなざしで自分を見つめているエリオナへと顔を向けた。


 「さぁ ガキンチョ。どうする?アタシらは部外者だ。お前の守る大事な領地の事なんざぁアタシは興味ねぇ。

てめぇが今さえよけりゃあ良いと取引をするならてめぇの責任だ。マコも汐路も華音も責任を感じねぇはずだ。」


 棗はいつもの選択を迫るときの癖の煙草を一服する。


 「なっちゃん、人に選択を迫るとき煙草を深く吸うのやめた方が良いよ?威圧感でるし……。」


 「アル・カポネみてぇだろ。」


 棗はそういい華音へウィンクをする。


 「厳しいですね……。そこまで頭が回るのに私にすべての責任を負わせますか。」


 「当たり前だろ? アタシらは統治者じゃねぇからな。責任をとらなきゃなんねぇから統治者であり税を徴収しそれで暮らしているんだ。

アタシ達に責任を負えっつうならそれに見合う特権がなきゃやってらんねぇな。」


 「なっちゃん、もう少し手加減してあげようよ。今のなっちゃん……責任を押し付ける言い方、ちょっと『久瀬』の人間みたい。」


 「げっ 華音の家族のことを悪く言いたくはねぇが……アレと同列に扱われるの心外だぜ。」


 エリオナは一度目を閉じ深く息を吐くと決心したかのように目を開ける。

 

 「この件に関しては一介の……領主の娘の私の判断で進めていい話ではないですね。一度父に……当代アーデンベルグ辺境伯に相談させていただきます。」


 その言葉に棗は唇を歪ませた。


 「ははっ 良いぜ良いぜ。 賢いじゃぁねぇかガキンチョ! 上がいるなら上に相談し責任を取らせる。賢いやり方だ。

自分の力量を裁量をわかってるやつのやり方だ。アタシはそういう奴は好きだぜ。」


 上機嫌で棗が笑う。

 だが棗の度重なる無礼な言葉に一人の騎士が立ち上がり剣を抜いた。


 「さっきから貴様無礼だぞ。」


 グレッグが目を見開き、止めようとする。

 華音が残念そうな目を向け、汐路は目をつむり俯き、マコはただそれを見つめていた。


 だが、誰かがなんらかのアクションを取るより早く、乾いた銃声がなり騎士はのけぞり倒れた。


 「言ったろ?抜いたら殺すってな。」


 排莢された薬莢が転がり落ち澄んだ金属音を響かせた。


 「ちっ 躾のなってねぇ飼い犬がいたもんだぜ。せっかく気分良くなってたっつうのによ。

さてと、ガキンチョは上の判断を仰ぐってことだ。そんなお利巧なガキンチョにはほんの少しだけ手を貸してやる。

だが、それをどう使うか、信用するかそれはやはりてめぇが考えろ。

 この村にはアタシら以外にも異世界人は居る。どれも取るに足らねぇ小物ばかりだがな。

 そん中に一人ちったぁマシになった奴がいた。 アタシらの居た世界を知り、いまこの世界でこの世界の住人に寄り添って生きる小物だが地に足をついている。

 そいつをどう使うかはてめぇで考えな。もちろん、そいつを頼らねぇってのもありだ。」


 「つくづく、意地悪で容赦ない人ですね。ただ選択肢が増えただけじゃないですか。

ですが……助かります。」


 エリオナは騎士を撃ったことを口にしなかった。

 騎士はエリオナの指示ではなく己の感情で剣を抜いた。

 確かに棗は無礼だといえる。だがエリオナはそれに対し何も追及はしていない。

 それなのに剣を抜いた結果がコレだ。


 騎士が撃ち殺されるだけ済んだのは棗が己の定めた教義に従う人物だからだ。

 最悪、取引が無くなる可能性や、エリオナが撃たれる可能性だって存在していた。

 それを考慮できないからこそ死んだのだ。


 「では、棗様 次はもうすこしお手柔らかにお願いします。」


 「はっ アタシはそんな優しい人間じゃぁねぇよ。 あと、躾のなってない駄犬は連れてくるなよ。死人が増えるだけだぜ?」


最後までお読みいただきありがとうございます。

『面白かった』『続きが読みたい』と思っていただけましたら、作品への応援お願いいたします!

正直な感想や好きな銃や出演させてほしい銃などで構いません。


私はサバゲーマーでもFPSゲーマーでもないただの銃が好きなだけのおじさんなので偶に間違えた記述もあるからもしれません。そういった場合は報告していただければ幸いです。

あとアニメなども殆ど見ませんしRPGやファンタジーのゲームもやらないので作中にでてくるゲームやアニメはこの世界ではそういうものだと思ってください。


私にわかるゲームはストリートファイターVと6のみです

また、ブックマークもしていただけると嬉ションしながら1911を握りしめます。


どうぞよろしくお願いします

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