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Lines Considered

 エリオナをのせた馬車が開拓村にたどり着く。


 馬車を護衛するアーデンベルグの兵士たちは皆、顔をこわばらせていた。兜の下から覗く目には、警戒と不安が混じり、握りしめた槍の柄が白くなるほど力を込めている。

原因はたったひとつ。開拓村に入ってから、絶え間なく響き渡る棗たちの銃声だった。空気を震わせ、遠くの森に反響し、まるで雷鳴のように村全体を包み込んでいる音は、兵士たちにとって未知の脅威そのもの——異世界人の武器が吐き出す、恐ろしい咆哮だ。


 馬車の車輪が、砂利を噛むような音を立てながら、開拓村の集会場に到着した。埃っぽい広場に馬が止まり、息を荒げて鼻を鳴らす。

馬車の扉がゆっくりと開き、侍女のリーナを先頭に、エリオナが優雅に降り立った。


 「これが異世界人の武器の雷鳴……。」

  リーナは未知の武器に震えながら、そう小さく呟いた。

彼女の声はかすれ、手は無意識にスカートの裾を握りしめている。銃声がまた響き、彼女の肩がびくりと跳ねた。

 

 「ですが、村の様子はひどく落ち着いてますね。モンスターの襲撃というわけではないようです。」

 為政者としてきちんと周囲を観察しているエリオナは震えることなく、近づいてくる初老の男に目を向ける。


 「お嬢様、ようこそおこしくださいました。」


 「ええ、それよりも大変だったようね。異世界人……流石に貴方でも手に余るのでしょう?ヨハン。」


 ヨハンと呼ばれた男は水の都セレナからこの開拓村の陣頭指揮をするために派遣されたエリオナの信頼できる従者の一人だ。


 「ええ ですが彼女たちは大変理知的でして……。あとで来たものより話が通じる分マシです。」


 「ヨハンの報告書は読みました。現在彼女たちを任せている傭兵のリーダー たしかグレッグさんだったかしら?彼に詳しい話を聞きたいわ。」


 エリオナはそう言い集会場の中に入っていった。


 


 貴人を招くにはあまりに質素で簡素な集会場だが、華美よりも実利を是とするエリオナは気にした様子もなく椅子に腰かけた。

 

 「お嬢様、お茶を入れましょうか?」


 「ええお願い。」


 暫くすると集会場に一人の男がやってきた。

 グレッグだ。


 「傭兵チーム”軍神の戦帯”のリーダー、グレッグです。エリオナ・アーデンベルグ殿。」


 「そうかしこまらないでください。それよりも彼女達について聞きたいの。あなたが最も近くで関わり見てきたことを教えて頂戴。」


 「やはり彼女たちのことですか……。一言でいえば危険人物ですね。

彼女達全体というよりかはリーダーの棗が……ですが。棗は自分の異常さも何もかも理解してはいます。

ですが彼女は彼女の中にある何らかの指針に従い感情よりも論理やその指針に従い動きます。

それは後から来た異世界人よりもある意味安全とも言えます。愚かな行動をしないという意味ではですが。

 ですが……それゆえに情に訴えるような行動などは無意味とも言えます。

 もちろん彼女にも感情はあります。ですから許容範囲ならば情で動くこともあるでしょう。

 うちのメンバーの一人もこの世とは思えないほどおいしいものを貰ったといってましたし。」


 「やはり、情ではなく論理で動いていますか。」


 「ええ、そして彼女は以前私にこう言いました。 彼女たちの持つ『銃』という武器は男も女も老人も子供も市民も兵士も分け隔てなくシステマチックに殺す武器だと。

こんなものは本来存在してはいけないものだと……。彼女は手に持つそれの重みを意味を知りながら運用しています。もし……エリオナ様がアレを取引の場に出すのなら……。」


 グレッグは早朝に感情をあらわにし棗が語っていたことを思い出す。


 「やめた方が良さそうね。 きっと彼女たちはそれを良しとしないわ。」


 「はい。 それともう一つ。棗の側には3人の女性がいますが二人を嫁と呼びもう一人は身内と呼んでいます。

その嫁と呼ばれる二人に決して手を出さないでいただきたい。それは棗の逆鱗に触れる行動です。」


 「それなのですが、棗というのは女性なのでしょう?なぜ嫁なのです? 子を成すこともできず家を存続させることもできないでしょう?」


 「棗の世界は総人口70億いるらしく……人が増えすぎて困るほどだと言っていましたし彼らの世界では同性もごく普通だと……。

ただ、それを後に来た異世界人に聞いたところ棗のように堂々と公言しているのは稀であり秘密裏に付き合うものだと。ただ世界的に多様性というのを求められる時代でもありそれを非難することはないらしいです。」


 「そう。それで棗のほかの3人はどういった感じなのかしら? 報告書には棗のことばかりで他の人物にはあまり触れられてないの。」


 「そうですね。華音という女性は棗が言うには元の世界の権力者の孫であり本人もそれを見て育ったらしく交渉事などのブレインだそうです。

もう一人はマコという、なんというかなぜあの棗と一緒にいるのか疑問に思えるような大人しいまるで小動物のようなびくびくとしている女性。

恐らくは……棗の愛玩用といったところでしょうか? ですがその彼女もまたオークとの戦闘では『銃』を手に一騎当千とおもえる動きをしていますがね。 

 そして最後に身内認定されている汐路という女性、彼女は戦闘行為や銃を怖がっている節があります。

 棗も彼女は自分たちとは違う一般的な人物だと言っていました。」


 「それにしてもこの『雷鳴』いつまで続くのかしら?魔力は尽きないのかしらね。」


 リズミカルに断続的に響く銃声を前にエリオナは首を傾げ、一口お茶を啜り喉を潤した。


 「この音は彼女たちの武器の音で、魔力は必要がないようです。

棗の話によればこの世界の運用には向かない武器だそうですよ。」


 「そう、魔石を欲しがってたのは武器の為ではなくて?」


 「はい。魔石はどうやら風呂に入るため と、聞いてます。


 「お湯を沸かす魔道具でも持ってるのかしら?」


 おそらく彼女達の国、もしくは世界では入浴というのは大事な儀式なのかもしれない、教会の修道女たちの行う沐浴のようなものだろうか。

 そうエリオナは判断し、グレッグの目を見つめた。


 「そう、グレッグさんにこの開拓村の護衛を頼んでよかったわ。長期間の依頼で実入りも少ないのに受けてもらえたことを感謝するわ。」


 「いえいえ、大した実績もない我々からすればこうして長期間食べるに困らない依頼は助かりますよ。」


 「大した実績がない? ええ確かにグレッグさんたちには派手な実績は存在しないわ。

 でも、どんな依頼でも文句を言わず、投げ出さず、手を抜かないという評判は確かな実績よ。誇って良いわ。」


 「ですかねぇ。もし興味があるのでしたら棗のもとに行きますか? 今ならまだ『銃』をその目で見ることもできます。」


 エリオナは思案する。

 グレッグとの会話の最中、エリオナの思考は終始、想像していた棗の人物像との差異に向けられていた。

 多少の差はあれど棗はエリオナが想像している通りの論理で動き一線を越えなければ手を取り合える人物だと評価した。


 「そうね。早速案内していただけないかしら?」


最後までお読みいただきありがとうございます。


『面白かった』『続きが読みたい』と思っていただけましたら、作品への応援お願いいたします!

正直な感想や好きな銃や出演させてほしい銃などで構いません。



私はサバゲーマーでもFPSゲーマーでもないただの銃が好きなだけのおじさんなので偶に間違えた記述もあるからもしれません。そういった場合は報告していただければ幸いです。


また、ブックマークもしていただけると嬉ションしながら1911を握りしめます。


どうぞよろしくお願いします

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