“Not Worth the Bullet”
ラスティと共にグレッグのもとに向かった棗は肩透かしを食らった状態だった。
初日にモンスターに敗走したとはいえ二日目を生き延びた。
平和ボケし大した技能も持ってなさそうな日本人のキャンパーだったが随分とやるのではないかと感心もしたものだった。
だが今目の前にいるのは二日目を生き延びたと、言うにはあまりにもみすぼらしく、ただ手に入れた異能を手にイきる男女だった。
「はぁ……アタシ達が決めた覚悟はなんだったんかねぇ……。」
くだらない。あまりにもくだらないと心の中で憤慨し、グレッグの側に立つ。
「よぉ、ラスティが泣きそうな顔で助けを求めてきたが一体どんな状況だ? まさかアタシにこの3流どもの相手をしろなんていわねぇよな?」
グレッグからも男女が戦いの素人だとわかるのになぜこうも張り詰め、ラスティが助けを求めてきたのかわからずにいた。
「三流といっても棗の力を知ってりゃ警戒もする。 あのバカげた戦闘力をみたらな。」
「ん?まさかアレを基準に考えてたのか? ないない。そりゃありえねぇよ。こいつ等に銃を使う技術はねぇ。それにあの格好を見てみろまるで敗残兵だ。」
土にまみれ枝などに引っ掛かり破れたアロハシャツ、普段は身を使っている身だしなみも無残な髪型。
そんな彼らを冷ややかに棗は見つめる。
「おいおい、ジャパニーズってのは自称世界一礼儀正しい民族だったんじゃぁねぇのか? 食料を略奪しようとするなんざ蛮族のすることだぜ?」
棗は動画サイトにある海外の日本への反応をまとめた日本賛美の動画を鼻で笑い冷ややかに見るタイプだ。
確かに日本ならではの文化や食事のレベルの高さなどは認めているしアメリカのこれはダメだろというところも重々承知だ。
だがそれと同時に日本の同調圧力の居心地の悪さ、個性より平均化といった物をひどく嫌っていた。
「日本人? あっ コイツら初日から別行動したっていうイカレ女どもだろ?」
キャンパーの一人が棗を見て思い出したかのように声をあげる。
「イカレ女ねぇ……。ま、誉め言葉として取っておくぜ。食料を略奪しようとする民度の高いジャパニーズども。」
「略奪? 俺たちは少しでいいから食料をわけてくれって言ってるんだ。たった5人分だぞ?いくらなんでもケチすぎやしないか?」
「ふーん お前らこの村見てもそんなこと言えるのか? この村のどこに畑がある? ここは開拓村だ。
アタシも詳しくは知らねぇがどこぞの大きな町からの補給物資で成り立つ村だぜ?むしろ食料を分けてもらいたいと願うほどだ。
今日の朝、アタシはそういった援助の要請を受けたしそれを受諾している。」
「なんで転移してきたお前がそんなことできるんだよ。」
「なんでって…… そりゃそういう異能だからだよ。お仲間に聞いてねぇのか?アタシの能力は通販だぜ?キャッシュがありゃコークだろうがチップスだろうが手に入れられる。
だからこうやって銃を手にしてんだよ。」
「じゃ、じゃあアンタでいいから食料を分けてくれよ。同じ日本人同士だ協力をしてくれたっていいだろ?」
「なんでアタシが無償で分け与えなきゃなんねぇ。言ったろ?通販なんだキャッシュがなきゃ手に入んねぇんだよ。
ま、アタシらはどこぞのだれかがモンスターに敗走したときそのキャッシュを稼げる能力の持ち主を見捨てて逃げたおかげで困らねぇがな。」
ギリっと歯ぎしりの音が聞こえる。
「おうおう 品の良いこった。まぁアタシは情では動かねぇ。施しもしねぇ。てめぇら三下が棚ボタで得た異能を持ってようが怖くもねぇしアタシらの相手じゃぁねぇ。」
「イカレ女がっ。お前だって異能で銃を手にしていきってるだけじゃないか。」
一人がそう吠え、その手に一振りの剣を出現させ、グループの一人が男から距離をとった。
「ああ、そうだな。アタシも銃がなきゃ無力な美人でスタイルの良い女に過ぎねぇ。
だがな、てめぇらは勘違いしてんじゃぁないか?アタシの能力は転移してくるまでにブックマークしていたサイトから通販できる能力だぜ?
アメリカの……それもガンフリークの聖地テキサスで育ち、アメリカ海兵隊特殊作戦群を退役した男から銃の知識を……扱い方を。
そのスキルを教えられ汗と血にまみれた技能は降って湧いたもんじゃぁねぇ。アタシの努力のたまものだ。
10歳になる前から訓練し、11年磨き続けたこの技術はてめぇらの浅い能力とは違うんだよ。」
「銃なんか弾込めて引き金引くだけだろうが。何が技術だ。」
本来ならば棗の逆鱗に触れるであろう言葉を男が吐く。
だが棗はそれを冷ややかな目で見つめる。
「はぁ……ここまで知性が無い人間は初めてだ。てめぇらはアレか?自分らが車の免許もってるからってF1ドライバーになれると思うタイプか?
それにな…てめぇら銃のことをどれだけ知ってる? 仮に銃を買える能力をお前らがもっていたとしても相手にもならねぇよ。
ゲームじゃねぇんだ銃によって弾も違う。メンテをしなきゃ動作不良を起こす。まさかハンドガンはハンドガン用って1種類しかねぇと思ってんのか?
てめぇらはアタシが撃つ価値もないし相手をする価値もねぇ。あと一つ言って良いか?あんまり無様な姿晒すと家族が困るぜ?親だの兄弟だのもいるんだろ?」
そういい棗はマコの肩に浮かぶ眼球を指さす。
「なんだそれ……。」
「コイツはカメラみてぇなもんだ。アタシの嫁の能力は『配信』だ。今もお前らの無様で情けない姿は動画配信サイトで絶賛オンエア中だぜ?
開拓村を襲い食料を略奪しようとする無様な姿がな。ま、ここまで煽っておいてあれだが、同情も施しもしねぇ。」
そこまで言い棗は、大きく息を吐いた。
「が、取引ならしてやる。対価が用意できるんならな。」
剣を出した男からわずかに距離をとった男が弱々しく剣を持った男をとめる。
「なぁ、もういいだろ?俺は日本の家族に迷惑をかけたくない。妹だって結婚を控えてる……それに日本に戻れた時俺たちの居場所がなくなっちまう。」
「戻れるのかねぇ……。ま、期待して後で絶望するのも、今その希望を頼りに生きるのも好きにしろ。
てめぇぐらいなら村の奴らに謝罪したら受けいれてもらえるんじゃぁねぇか? 知らねえけどな。」
そういうと用は済んだとばかりに棗はグレッグに顔を向けた。
「こいつらはアタシらほどの戦闘力も経験も……なにより覚悟もねぇ。やりあっても負けることはねぇよ。
もちろんグレッグてめぇらにもはるかに及ばねぇ。もっている異能の凄さなんざ関係ねぇこいつ等には矜持も覚悟もなにもかもがねぇんだ。
次呼ぶときは魔石ががっぽり稼げるモンスター相手であってほしいね。まぁ ドラゴンとかどう考えても人が太刀打ちできねぇモンは勘弁してほしいがな。」
棗はそういうと顎で華音とマコへ撤収の合図を送った。
うーん この主人公えらそう
書いてる私ですら不快です。
まぁそうデザインしたんですけどね。




