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トリガーハッピーは異世界でいきる  作者: stupidog
Watching the Line They Crossed
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第二十二話 The Man Who Watched

I never told her to pull the trigger.

I only taught her where the line was.

She crossed it on her own.

So all I can do now… is watch.

 手入れをすることもなくだらしなく伸ばした髭と現役だった頃からはずいぶんと脂肪のついた大きな身体

優し気な身元には深く皺が刻まれていた。


 男の名前はボー・オーティス・ブライアント。

 近しい物は頭文字をとり彼のことをボブと呼ぶ。


 軍を辞め退役した彼は現在シューティングレンジを経営しておりトレーナー兼オーナーとして活動していた。


 そんな未婚の彼には一人娘がいた。

 血も繋がっていない隣の家に住んでいた日本人の娘だ。


 窓から見える、今は別の家族が住む隣家。

 かつては一人の少女が孤独に一人でブランコを揺らしていたそこには別の少女が家族と共にバーベキューを楽しんでいた。


 彼は、娘と称するそんな孤独な少女と初めて声を交わしたクリスマスを思い出していた。


 クリスマス、それももう日が暮れ始めているというのに庭で一人でいる少女を見たとき男は不思議に思い声をかけた。


 特別なディナーと子供には喜ばしいプレゼントというイベントのある家族の団欒が始まっているであろう時間に、まだ幼い少女が一人ブランコに乗っている。

 警察でなくても声をかけ心配する。ましてやボブは退役したとはいえ世界の警察であるアメリカの軍人だった。

 愛国心も正義を愛する心も持っていた。


 心配し声をかけた少女から帰ってきた言葉は「母はワーカーホリックで滅多に帰ってこず、父親は飲み歩き浮気三昧」という言葉だった。

 まだ幼い少女から「父はきっとまたあの女のところにいる。」そんな言葉を聞いた時には頭に血が上り汚い言葉が口から洩れそうになった。


 アジア人の家庭だが、人種など関係なく幼い子供をこのままにしては置けないと911にコールするためスマートフォンを取り出す。


 だが少女は手を伸ばし彼の袖をつかむと首を横に振った。


 コールをした結果どうなるかわかっているのだろう。随分と賢い子だと彼は思った。

 そして彼は少女がアジア人それも日本人だと見分けていた。

 物わかりの良い静かな子供、それだけならば内気な性格だと割り切るところだがこのままにしていたらキッドナップのターゲットになりそうな質が良く独特なデザインのワンピースと隣家にある車が日本製のセダンということもあり日本人だと見分けた。

 背負っていたリュックから先ほどマーケットで買ってきたコークとスナックを取り出し話をする。

 

 少女の棗はナツメ・トドメキ。アメリカ人の彼からすれば独特の響きの名前だ。


 それから幾度となく声を掛け合うようになった。


 あまり大っぴらには良くないことだが、孤独な彼女を家にあげコレクションしていた古いハリウッドムービーを見て時間を潰したりするような関係となった。


 少女は、映画の中で見る拳銃という物を見たことがない。

 銃はアメリカに住んでいる少女の中でもまだ画面の向こう側の存在だった。


 そんな少女に彼は銃を持っているのかと聞かれ、言葉に詰まる。

 持っていると答えればムービーのヴィランと同じような人物と思われるのではないか?

 だが、ソファでコークを片手にクッションを抱く少女が物語と現実を同一視するとは思えず「持っている。」そう答えた。


 少女は目を輝かせる。


 アメリカ人は本当に銃を持っている。そんな事実にまるでネス湖にネッシーが本当にいたかのようにはしゃぐ少女。


 とある日曜、彼は郊外の森へハントに行く予定で車に荷物を積んでいた。

 隣家の庭から少女が彼を眺めている。


 声をかけついてくるかと聞くとついていくと答えた。


 それから射撃の基本やハントを教えたり、銃を持つ重さ、トリガーを引く意味を教え、少女はジュニアハイを卒業するとともにアメリカを去った。


 日本に帰った少女からは毎週のように日本はつまらない、クソだ、自由がない。テキサスに帰りたいとメールが届いた。

 ハイスクールを卒業した後には、恋人だという女性を二人も連れ何度か彼の経営するシューティングレンジにトレーニングにも来ていたし、娘と呼ぶその少女の動画配信サイトのサバイバルゲームやガスガンのレビュー動画も欠かさず見ていた。


 それでもなぜか今日、そんな少女のことをふと思い出した。


 壁にはライフルを片手に膝を付く彼と22口径のライフルを片手にハントしたウサギを手に笑顔を浮かべる幼い少女の写真、退役軍人の仲間と共にアポカリプス後の拠点などという現実味の無い秘密基地を有志で購入した山につくる様子の写真が貼ってあった。


 血は繋がってなくとも、過ごした時間は短くとも、彼女は彼にとっての娘だった。

2章始まりました。


前書きにポエム入れてみました。オサレ師匠リスペクト


文体が淡々としてるのはあえてです。

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