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9 文化祭終わり

 文化祭は無事1番になり、俺は一人広場のベンチに座っていた。

 初めての成功体験をした。その気持ちは言葉では表すことができない。

 

 「あー幸せだ!」

 

 「何言ってるんですか」

 

 独り言をいっていると、美崎が来た。

 

 「お疲れ様です。よく頑張りましたね。」

 

 初めて褒められた。今日は本当に嬉しいことだらけで、この後が怖いぐらいだ。

 

 「お前、どうして急に丸くなったんだ?」

 

 「あんたのお姉さまにいわれたのよ。もっと見てあげなさい。美崎が思っている以上にすごい弟だから!後、あの子に優しくしてあげてねとか色々とね」

 

 またまた姉ちゃんに助けられていたとは。もう姉ちゃんが主人公でよくね。だってあの人、やってることかっこよすぎるだろ!

 

 「そうか、姉ちゃんがそんなことを……それでも、俺を生徒会に入れてくれるのか?」

 

 「文化祭で一番を取ればとの約束ですから、ちゃんと守ります。それにあなたの凄さも理解できましたし」

 

 これで生徒会に入れるのか……でも待てよ。確かこの学校は、演説をして、生徒の3分の2以上の了承がなければ、生徒会に入れなくなるはずじゃ__

 

 「なぁ、もしかしてだけどまた演説するのか?」

 

 「もちろんです。ルールですから」

 

 終わった。もうあの舞台はトラウマでしかない。いくら美崎に論破されなくてもきつすぎるーー。

 顔を引きずる。


 「そんなにビビらずとも、あんたは生徒会に入れるわよ!この文化祭の功績は私だけじゃなく、皆も認めていますから」

 

 「美崎様ーーー」

 

 俺は抱きつこうとしたが、一瞬で避けられてしまった。


 「ちょっとやめなさいよね」

 

 「すまんすまん、つい癖で」

 

 美崎が笑い出した。初めて見た笑顔はどこか懐かしい気がした。

 

 「ほんと、お姉さまみたい。やっぱり弟なんだ」

 

 はじめて言われた。今まではむしろ、これが弟?似てなさすぎでしょ、期待外れだとか言われてきたら嬉しかった。しかし、似ているって言われた原因が原因なので複雑でもある。

 

 「そうでした、今日の生姜焼き持ってきたの忘れてました」

 

 「え?」

 

 「だって、今日の主役はあなたですよ。他の皆さんは食べました。だから食べないと」

 

 忘れてた。今日は一日中忙しく、食べてる暇がなかったら嬉しい。それに主役になれたんだ。美崎に認めてもらった気がする。やっぱり、いくら姉ちゃんに色々言われてからいっても、変わりすぎだろ!

 少し甘えてみるか。

 

 「頑張ったから食べさせてーー」

 

 「仕方ないですね。今日だけですよ」

 

 「待った待った!本気か?」

 

 「はい!やって欲しいのでしょ」

 

 まさかの返事に驚かせられたが、してくれるなら甘えるしかない。

 こうして、俺は、姉ちゃん以外の女性に初めて食べさせて貰った。味は、いつもよりおいしい気がした。





 

 「ただいま」

 

 長い長い一日が終わりを迎える。リビングからは、とても良い匂いが漂う。生姜焼きを食べた後だが、おなかは減っている。

 

 「おかえり!愛する弟よ」

 

 すぐさま抱きついてきた。あっこれのせいで、癖になるのか。

 

 「今日はよく頑張ったね!さすが私の弟だよ」

 

 「姉ちゃんのおかげだよ。聞いたよ、色々してくれたんだよね」

 

 「サポートしただけだよ。結局は翔希の力でやったことだから、すごいよ」

 

 惚れてしまいそう。こんなの姉という立場じゃなきゃ告白しただろうに。やばい、このままなら俺もシスコンになりそう。あんなに姉ちゃんをブラコンっていって避けてきたのに。

 

 「ご飯にしよっか」

 

 「そうだな」


 今日の料理は気合が入りすぎている。まるで高級フレンチみたいのクオリティだ。

 見た目だけじゃなく、味も完璧だった。

 

 「おいしすぎる!最高だよ姉ちゃん」

 

 「それは良かった」

 

 「そういえばだけど、なんで俺をこんなにサポートしてくれるんだ?」

 

 唐突の疑問だった。確かに、姉ちゃんだからといってサポートする理由も分かるが、ここまでしてくれる理由が分からない。それに前に言っていた、姉ちゃんになくて俺にあるもの。それが姉ちゃんが全力でサポートする理由なのか?

 

 「翔希しかない能力に気づいたら教えてあげるよ。それまで内緒」

 

 自分の隠れた力は自分で探せってことかな。それまでサポートはしてあげるけどね。そんなとこかな。

 

 「そうだ、文化祭も終わったことだし、次のアドバイスするね。雫や美崎と一緒にいなさい。あの子たちは私が教えてきただけに、すごいよ。きっと翔希の力になる」

 

 「姉ちゃんはいったい何をさせたいんだ?てか今回は何のアドバイス?」

 

 「それも内緒!」

 

 「は!?言っとくけど、俺の目標は彼女つくることだよ!確かに、生徒会に入って、今までにないぐらいの一年にさせたいとか、周りから痛い目で見られる地獄の学校生活を変えたいとか言ったけど、第一目標は彼女だよ」

 

 「分かっているよ!それも込みのアドバイスだよ」

 

 姉ちゃんは頭が良すぎるためなのか、俺には意味が分からなかった。果たしてこんなアドバイスを聞き続けると彼女ができるのか?

 

 

 

 

 

 次の日。俺はいつも通り登校をしている。いやらしいことに、木曜日が文化祭で、今日は普通の授業。こんなに苦痛な思いはない。 

 それにしても、周りからの冷たい目線はだいぶなくなったな。校内ではまだ避けられるけど。この前なんか生徒だけじゃなく、静かで大人しい先生までにも避けられたからな。ほんとショックだった。

 

 「おはよう!翔希」

 

 誰かなとみると、屋久だった。

 

 「お!もう元気になったのか。それは良かった」

 

 「おかげさまでな。昨日は本当にありがとう!私の代わりに一番を取ってくれたことを、雫から聞いたよ。それに花火は最高だった!」

 

 「満足してくれて嬉しいよ。でもこれは、俺の使命だったからやっただけ。屋久さんの力があってできたことでもあるから、感謝はやめろよ!それにいっただろ屋久の思いは受け継いだと」

 

 そう言うと、泣きながら抱きついてきた。こんな感じで女性から抱きつかれるとは思わなかった。でもこれはこれでまずい。なぜなら今ここは、道路。登校中の生徒がたくさんいるのだ。

 

 「泣きやめよ。こんな姿皆に見られたくないだろ」

 

 「だってーー翔希があんなこと言うから」

 

 誤解を生む発言だ。これには周りの生徒もひき始める。

 

 「えっ寺内、屋久を泣かしたの」

 

 「告白宣言の次は、泣かすのかよ」

 

 「最悪だな」

 

 周りの生徒は逃げ、俺と屋久だけなる。

 あっ終わった。なんでいつもこうなるの。昨日あんなに良いことがありすぎたからってこれはおかしいよ!俺も泣けるなら泣きたいよーー。また王様気分で登校するのかよ。

 

 「これはやってますな翔希よ」

 

 ここで長谷川の登場。

 

 「良いタイミングで来たな。今ちょっと感情が不安定なんだ。だからお願いだ」

 

 「えっなんで、俺悪くないよ。それに今抱きつかれているじゃん、屋久いるよ……」

 

 再び、道路で銃弾を撃った音がする。さすがに屋久もこの音にビックリしたのだが、なぜか泣き止まず、長谷川は倒れこみ、俺は精神不安定。もうカオスの状況だ。こうして俺達の、文化祭は終わり、人生で始まての遅刻もしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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