3 美女の家
こいつらの家ってタワマンかよ。親、お金持ちって、人生勝ち組じゃん。
ついつい見とれてしまう。
「ほら、行くよ」
雫達が遠くなる。俺もその後に続き、中へ入っていった。
家の中はお城みたいにきれかった。こんなすごい家見たこともない。初めて入った、お金持ちの家に興奮を隠せなかった。家のあらゆる所を見て回っていると、玄関のドアが開く音がした。
「おかえりなさい、お父さん」
「ただいま」
どうやらお父さんが帰ってきたみたいだ。雫達は、すぐに迎えに行ったな。あいつらにもこんな可愛い面があるなんて。俺もあいさつに出向くとしましょうか。玄関に行くと、心臓が跳ね上がる。
「おおお帰りなさい、お父さん」
とっさにお父さんと呼んでしまった。まさかこいつらのお父さんが校長先生だなんて、だれが思うだろうか。俺は、告白宣言のことが頭をよぎった。
「君は、誰かね?お父さんと呼ばれる筋合いはないよ」
「それは間違えです」
目を合わせるとともに、きっぱり答える。おや、もしや校長先生は俺の存在を知らない。それなら今夜はただの振られた男子高校生として、慰められて終われるのでは……自分で言ってて悲しいなぁ
でもやるしかない、絶対にバレないようにする。
「この人はね、寺内っていう名前で、あの有名な全国に告白宣言した人、見事に振られたから、雫達が慰めてあげるの」
心が張り裂けた音がした。そう、今のがフラグで、こんなにも早くフラグ回収したらしい。俺は、その場から崩れ落ち、床しか見ることができなかった。
「そうかそうか、この人がわが校で告白宣言した生徒か!一度話したかったんだよ」
高らかに笑い出し、俺の肩に手を添える。この光景は、見るに堪えれなかった。その後、帰れるわけがなく、みんなで夕食を食べる。
「元気出しなよ、振られたけど、きっと良い彼女いつかできるよ」
俺が、今どんな気持ちかも知らず、雫は慰める。もちろん俺は、殺意で溢れている。美崎は、大人しくなんにも言わないのに、雫は真逆だな。こいつらが双子なんて思えない、いや思いたくもない。
「てか、なんで俺を家に呼んだんだよ、慰めなんて絶対噓だろ」
「噓だよ、本当はね__生徒会に入ってほしの」
「は!?」
「君には才能がある、なんだって告白宣言する行動力と大胆さがあるのだから」
雫がなぜ生徒会と言うワードを使ったのは、察しがつくだろう。雫は、生徒会長で、美崎は副生徒会長。だが、そんなことを自信満々に言われたってうれしくもないし、褒められた気もしなかった。それもそのはずだ。行動力も大胆さがあるのは姉であって、俺は告白宣言をしたくてやったのではなく姉にさせられただけ。ゲームを奢る罰ゲームがなければ、告白しなかっただろう。
「嫌だね」
俺はこれ以上、恥をかかないために断った。しかし雫は諦めない。
「君に拒否権はない!私は最高の生徒会をつくるために君の力が必要だ。」
「私からもお願いするよ、君と話してみたかったのはこのことなんだ」
校長先生までも頭を下げだす。この状況、ここで断ったら、確実に死ぬよな……退学させられてもおかしくない。なんで俺は、いつもこうなるんだーーー。頭を抱え込むも、答えは決まっている。
「やらせていただきます」
心細い声で返事する。すると、美崎以外は喜色満面になる。
俺にはどうやら人権がないらしい。いつも誰かに振り回されて、恥をかく。本来、彼女が欲しいがためにしたことが、生徒会に入ることになる。
本当にわけわからないな。
「じゃあ、明日生徒会で演説してもらうからね」
「えっ?契約書みたいなのにサインするだけじゃないの」
「なに言ってるの、この学校は全校生徒の3分の2以上の了承がいるのだよ」
今まで生徒会になんて興味がなかった俺は、仕組みなんて知らなかった。てっきり、生徒会長と副生徒会長だけが演説してなるものだと。この学校は違うかった。
「美崎は、あなたが生徒会に入ることを認めませんから」
美崎の目は、険しかった。俺は、周りの生徒から了承してもらうことにしか目がいかなかったが、そもそも、俺を生徒会に入れさせたいのは、生徒会長と校長先生であって、副生徒会長である、彼女はなにも言っていなかった。でも自分の退学を免れるには頑張れるしかない。
「俺は、明日の演説で認めさせてやる!美崎も全校生徒も」
「やれるものならやってみなさい!」
ここで俺(寺内翔希)は新たな宣言をする___俺は、生徒会に入り、彼女をつくる!