17 復活
ここからまた翔希視点です。
あれ、ここはどこだ?
確か学校にいたはずじゃ……
視界がまだぼやけているが、明らかに違った景色が広がる。
自分の手を見て気づく。
あっ!俺倒れたんだ。
じゃあここは病院か。
誰かの声がきこえてくる。
「翔希ーー」
容赦なく抱きついてきたのが姉ちゃん。
姉ちゃんの顔には、涙が溢れていた。
雫たちの姿も見えてくる。
「みんな……ごめんね……」
「ううん!こちらこそごめんねーー翔希ーー」
姉ちゃんがいつもよりキモい。
このブラコンが。
「翔希!私もごめんね。生徒会長なのにだらしなくて。でももう大丈夫!これも翔希が頑張ってくれたおかげだよ!」
「おう、戻ったのか。良かった……」
雫の顔がイキイキとしていた。
ようやく元に戻り、俺も一安心する。
「生徒会のことなんだけど、なんとか中塚を引き戻すことができたよ。後は石見を説得するだけ……」
「本当!中塚戻ってくるの!」
「あーホントだよ」
雫は子供みたいに、はしゃぎだす。
ここまで喜んでくれたのなら、頑張って良かったと思う。
「私は、あんなやついなきても良かったのですがね!」
「そんなこと言うなよ!美崎!ホントは嬉しいくせに」
「黙りなさい雫!元気になったことでウザ上がりましたね」
「ひどーい」
たわいもない会話が戻ってきた。
そんな中、桃が間を割って寄って来る。
「寺内君!良かったよぉー倒れた時は、心配で心配でぇ……」
「すまんすまん。桃がいなかったら今も倒れてるかもな」
「冗談でもそんなこと言うなぁ!」
ほっぺを膨らませ、怒る桃が可愛い。
おっと危ない。惹かれてしまいそうだった。
「ねぇ翔希。これからどうする?生徒会辞める?」
空気の読めない姉ちゃん。
聞くタイミングおかしいだろ!
皆もこの一言で表情が変わる。
「そうだな……少し考えるよ」
「やっぱり生きる意味や生徒会に入る理由を探している感じ?」
「うん!やっぱり自分でそういうことは決めないといけないから。雫たちを見ているとそう思ったらよ」
今度は皆の表情が柔らくなった。
「姉さま。怖すぎです。そこまでドストレートに聞くとはアホですか?」
「だってー気になっていたんだもん。後私、師匠なんですけど。師匠に向かってアホとはひどい!」
「まぁまぁ落ち着いて二人とも。美崎も、翔希の今後を気になってはいたんだから結果オーライでしょ」
こいつら会話初めて聞いたけど……
姉ちゃんが師匠だと思わない!あきらかに師匠は雫にしか。
あれ、これは俺だけだろうか。
「さぁ!今から石見を説得に行こう!」
「今からですかぁ?」
「そうだよ。久々にしっかりと仕事しないといけなからね」
「雫は一度決めたら揺るぎませんからいくしかないですね。桃さん」
「そんなぁーー」
「じゃあ姉さん!翔希の世話よろしくねーー」
雫はこう言って、二人を引き連れて行ってしまった。
あいつ元気だとこんなんだっけ?
姉ちゃんと二人になった。
「ねぇ翔希。私のこと嫌いになった?」
なんだこの質問!
付き合いたてのカップルか!
「嫌い……じゃない」
布団に隠れながら言う。
「本当に!嬉しい!」
「なんだよ。やっぱりキモくなったんじゃないか」
「えへへ。そう?」
あれ大丈夫?
笑い方が……
恐る恐る振り返ると……そこにはよだれをたらし、ニヤニヤしている姉ちゃんの姿があった。
「姉ちゃん……本当にキモい……」
「もう離さない。翔希ーー」
布団の中に潜り込んできた。
「やめろーー」
必死の雄叫びも届かず、医者が来るまで抱き着かれていたのであった。
退院の日。
「ほんとうにお世話になりました」
「いえいえ。これが私たちの仕事ですから。元気になって良かったです」
医者との会話が終わると、姉ちゃん一向が迎えに来た。
「退院おめでとう!」
「良かったですね。退院できて」
「もう大丈夫そうですねぇ。良かったですぅ」
皆が祝ってくれる。
「ありがとう!」
「ねぇ聞いて聞いて!あれから石見の交渉に行ったんだけど、なんか簡単にOKくれた!なんだか夢で顔が死んでる生徒に生徒会戻れーーって追いかけられて怖くなったからとか言ってた」
それ俺じゃない?
確か倒れる前、そんなことしてたような……
まぁそんな理由で戻って来てくれるなら、幽霊の格好して追いかけたらよかったな。
しくじったか。
「良かったなこれで皆、元に戻ってきてくれて」
「いやまだだよ!」
「いやいやこれで皆戻ってきただろ!」
「もうー鈍感だなーー」
皆ニコニコしてこっちを見る。
えっ!怖い怖い。
「だから翔希!次は君の番だよ!私たちが君を交渉して見せる!」
「そうですね。私達が必死で手に入れますから」
「負けないよぉーー」
これは生徒会に入らせたいだけだよね?
なんで三人とも、協力はしないの?
ここから俺は壮絶な夏休みを過ごすのであった。




