15 再び絶望
「で!なんでいたの?」
「それはですね……中塚の交渉を手伝ってくれる代わりに、デートをしてくれと……」
俺はいくら生徒会のためだといえ、この状況でデートに行くなんて言えず噓をついていた。
まさかバレるとは思わず……
「それにしては楽しんでたね?雫がどれだけ弱っているか知らないくせに!」
姉ちゃんは雫を少しでも慰めるために水族館にいたらしい。
どうやら雫はあれからだいぶ弱っているらしく、食事もまともに取らなければ、会話も少ない。
責任感が強すぎがための状態。
「すいません。ついつい楽しんでしまいました」
「そうだよね。やっぱり翔希は一人だと何もできないんの?期待していた私がばかだったの?」
今日の姉ちゃんはだいぶ怖かった。
「でも、少しぐらいは遊んでもいいんじゃないの?平日はいつも頑張っていたんだし」
「ダメだよ!目の前で弱っている人がいて自分だけ息抜きだなんて。もし雫が倒れたらどうするの?私はもう誰にも死んでほしくないの!それを防ぐには少しでも早く解決しないと!」
姉ちゃんはまた大切な人が死んでしまうのではないかと恐れている。
家族のこともあったからそういうことに敏感なのだろう。
一日でも早く救ってあげないと……そのためなら休みなんて不要。
そう考えている。
「じゃあ俺は倒れてもいいのか?」
この時の俺はおかしかった。
普段なら聞くはずもないのに、弱っていたからであろうか。
「そんなこと言ってない!でも優先は雫でしょ!」
「そうか……じゃ明日から頑張るよ……」
日曜日
俺は桃に中塚の住所を教えてもらい、説得に行く。
「寺内か!お前しつこすぎだろ!」
「君を生徒会に引き戻さないと悲しむ人がいるからね」
俺は雫のことなどを教えてなんとか交渉しようとする。
「お前はよく人の為にそこまで頑張れるな!自分はどうしたのかなんてなぜ言わない?ロボットか?」
思えば、自分がどうしたいかなんて元々ない。
今までの生徒会演説や文化祭もアドバイスや指示があったからで、一人だと何もしなかったし、俺がしたかったわけではないはずだ。
あれ?じゃあなんで今、生徒会に入っているんだっけ?
よくよく考えると、生徒会演説の内容も姉ちゃんが決めてくれたことだし、知らないうちに、今までにない行事にするとか言って頑張ってきたけど、それは俺の意思じゃないく、姉ちゃんの意思だと気づいてしまう。
本当になんで頑張ってきたか分からなくなり、先が真っ暗になる。
だが今は俺の意思なんてどうでもいいはずだ。
今は雫のために!
「お願いします」
その場で土下座する。
「お前悲しいやつだよ……多分今まで他人に決められ、生きてきたんだと思う。しゃーない、どうせここで断ってもまた来るんだろうし、生徒会に戻ってやる。しかし勘違いするなよ!俺は雫達のためじゃなく、お前を立派な男にするために戻るんだからな!」
なぜか生徒会に戻ってくれた。
今まであんなに今日拒否られたのに。
次は石見だ。
でも中塚と違って全然戻ってくれない。
その後何日にも渡り交渉をし、桃も必死に交渉するが失敗。
「ねぇ寺内君大丈夫?体も心配だけど、ずいぶんと心がやばそう」
「大丈夫だよ。後は石見だけ交渉すればいいだけだから……」
「でも……なんかこの先に絶望してる感じがして……」
「そうかなぁ」
桃は察しが良い。
実はもう立ち直れないほど弱っていることを……
最近あった出来事、そして今まで頑張ってきた意味がわからない。それが同時に俺を苦しまる。
やがて俺の体は限界を迎え、倒れてしまった。
桃が保健室まで運んでくれたが、状態は深刻で病院にまで運ばれる。
やがて姉ちゃんや美崎も駆けつける。




