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11 再び大変

 鉛筆が進まない。

 明後日からテスト週間なのだが、今日までなにもしてなかった。

 悪いのは俺自身で、誰も悪くないのは分かっているが、学校への怒りが限界突破してしまう。

 

 「わかるわけないだろーー」

 

 俺みたいな男子高校生の成績は、普通か意外と天才な男子かもしれないと思うが、現実は学年最下位を争う成績なのだ。

 

 高校一年生の時も、進級するためには成績が危ういと先生に言われた。

 血のにじむ努力のおかげでなんとか、2年生への道が開けたのだが、生粋のバカである。

 

 2年生では平均点を目標にして、授業から頑張ってきたはずなんだが……目を開けると授業が終わっていたり、知らず知らず飛行機雲を目で追っていたりして時間が過ぎていた。

 

 今この目標を達成するには、姉ちゃんに助けてもらおう。

 苦渋の決断だったが、ここまできたら頼るしかない。

 

 姉ちゃんの部屋の前に着くと、なんやら姉ちゃんの声とは違う声が聞こえていた。

 恐る恐るドアを開けると、そこには水着姿の姉ちゃんがスマホを見ながらニヤニヤしていた。

 

 見てはいけないものを見てしまった。

 あれはどうみても、ダメなビデオだ。なぜ水着姿なのかは分からないが、絶対そうだ。

 

 「姉ちゃん、今いい?」

 

 喋りかけた瞬間、姉ちゃんは静止画みたいになる。


 こんな姿さすがに弟には見られたくなよな。(俺もそうだもん)

 

 「翔希見た?」

 

 「見ました」

 

 「いやこれはね、水着の試着してて、たまたま自撮りしようとしたら、手が当たっちゃてこうなっただけで……」

  

 まるわかりの噓に、俺も申し訳ない気持ちになる。

 誰もが通る道なので批判はしない。

 

 「もういいよ」

 

 「ですよね……すいません。ついつい水着を着たらテンション上がってこうなりました」

 

 「うん、俺も悪かった。次はノック忘れないよ。さぁ着替えて」

 

 

 

 気まずい時間だったが、話をもとに戻す。

 

 「姉ちゃんに勉強を教えてもらいたくて」

 

 「そういうことね!分かった。私が教えてあげるわ」


 こうして俺は、姉ちゃんと勉強特訓が始まる。

 指導は思った以上に厳しく、目が充血しながらも勉強を続けさせられた。

 

 それでも教え方は良く、俺でも簡単に理解できた。

 その日は午前4時までした。

 本来、一夜漬けはあまり良いことではないが、時間がないため仕方なくとのことで皆はマネしないように。


 姉ちゃんのおかげもあってテストは今までにない出来具合で締めくくることができた。

 解放感でいっぱいになる。


 「君!今で悪いのだけど伝えたないといけないから言うね。生徒会演説のことなんだけど、日程が決まってそれが……明日なんだ」

 

 当然の報告で、戸惑いが隠せない。

 

 「は!?明日なの?テスト終わったばかりだけど、ね!ね!噓だと言ってくれーー雫!」

 

 「そうなんだけど、終業式までに取れる時間が明日しかなく、それで……」

 

 どうやら俺のためになんとか時間を確保してくれたのだが、明日はまずい。なぜなら何も考えていないからだ。

 てっきり演説は2学期かなと思ってしまっていた。


 それでも俺は、夜にしよう。こう後回しにしてしまったことがどれほどバカだったか、その末路をご覧あれ。

 

 ベットから当然立ち上がる。

 あたりを見渡すと、太陽の光がカーテンの隙間から差し込んでいた。

 なんと勉強の疲れで寝落ちして、演説ついて何も考えていないまま朝を迎えてしまった。

 

 「まずいまずい、どうしよう……」

 

 焦る気持ちが高まる。だけど登校までの時間もない。

 ここで悩みぬいたすえ、ある結論にたどり着く。

 

 「よし!諦めよう。ぶっつけ本番だ!」

 

 俺は今までの経験だけで挑むことにしてしまった。


 そして、時の流れは速く、気付くともう体育館裏で待機していた。

 

 「君ー2度目演説をするとはこの学校で史上初の快挙だよ。さすがに今回は支持得てね」

 

 「テスト前で大変だと思いますが、良い演説を期待しています」

 

 ぶっつけ本番なんて言えない……言ってしまった状況を妄想してみたが絶対ダメだと判断した。

 この舞台に良い思い出がないが、やるしかない。

 俺は、舞台で喋り出す。

 

 (再び立候補しました、寺内です。理由は今回も同様で、皆さんを最高の学校生活にさせたいからです。さて皆さんは文化祭は楽しかったですか?ご存知の通り、前回の文化祭でOBである寺内早紀が来ていたり、花火があったりと今までの文化祭ではなかったことがありました。これができたのは私一人の力ではありませんが、発案者として全力を尽くしましたし、クラスの出し物でもクラスを1番にさせることもできました。この経験を糧に、2学期も体育祭などを今までにないぐらい楽しくさせたいです。そのためには生徒会にはいらなければいけません。皆さんどうか応援のほどよろしくお願いします」

 

 拍手が沸き起こる。


 なんとか乗り切り、自分でもなかなかにできた感覚がした。

 もしかして何も考えてこないほうが良い!

 調子に乗りそうになったが現実を見ると……

 

 「前よりはよくなっているね……よく頑張ったよ君」

 

 「そうね、あなたにしては頑張りました。お疲れ様」


 姉妹の評価はイマイチだった。

 それでもまた一つ壁を超えた気がする。


 (後日の結果では見事、生徒会に入ることができた)

 

 

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