【8】無計画さに腹を立てる
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『最初から言ってるじゃない。たまご採って食べるのよ。本体をつかまえられたら、なおいいわね』
……なにを言っているのだ、この魔女は?
長虫に関わることさえイヤなのに、さらに『たまご』を盗ってくるなど。また、それを『食べる』など。ましてや『本体を捕まえる』など。
しかし、骨ピとウンラロが黙っていたら魔女はどんどん降りていこうとする。骨ピは不機嫌に腕を組み長い鼻を鳴らし、ウンラロはウゥ…としか言えない。その間も、魔女はどんどん下に降りていく。
「ど、どうする?」
「………放っておく訳にもいくまい」
「…し、しかし…お、降りる…し、手段が…な、ない」
ゴブリンの手足は魔女より短いのだ。魔女は降りられても、ゴブリンの二人は降りられない。
「問題ない。コレを使う」
そう言いながら、骨ピが背嚢から取り出したのは長い方のロープである。よく見れば、骨ピは全身にそれとなく便利な道具を仕込んでいるようだ。骨ピはあっという間に鉄の杭を硬い石で洞窟の地面に打ち込んだかと思うと、その先に長いロープを結びつけて縦穴の中に落とした。
「……縦穴を降りるなら、早く言えばよいものを」
骨ピは怒ったように言った。勇者である彼は【長虫】など恐れない。ただ、仲間になんの相談もなく勝手に行動する魔女の無計画さに腹を立てているのだ。
そして、骨ピとウンラロの二人は、長いロープを伝い魔女を追って縦穴の奥へと降りていった。
To Be Continued.⇒【9】
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