【オマケの話】“常識”
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「……という『お話』じゃ」
パイプのけむりを燻らせ、揺り椅子に揺られながら、老いた『骨ピ』こと【偉大なる洞窟ゴブリンの首長】は孫や近所の子どもたちに、自分の思い出話を聞かせた。孫たちも近所の子どもたちも、皆目をキラキラさせながら【偉大なる洞窟ゴブリンの首長】の冒険話に耳を傾けている。
そんな子どもたちの様子に、【偉大なる洞窟ゴブリンの首長】もまた目を細める。
……子どもは国の宝だ。
国が立派でも子どもがいなくなれば、やがて国は亡ぶのだ。【偉大なる洞窟ゴブリンの首長】は、経験によりそれを識っている。その250年の生涯の中で、いくつもの偉大なる『人間の国』が亡ぶ様を彼は見てきた。
未来を担う子どもたちに『お話』を伝えることが、年老いた今の彼にとって最も重要な最後の責務である。
「その魔女は、手に入れた【長虫】の『たまご』をなにに使ったの、おじいちゃん?」
「なんで魔女は太鼓叩いて『あ〜あ、あ〜!』って、やったの?ねえなんで?」
「……それに、魔女が太鼓叩いてる間にどうやって『たまご泥棒』やったの?」
「【長虫】ってどんな形なの?」
「あと【長虫】の巣の入口は今どこにあるの?」
「ねえ、魔女はなんで色々知ってるの?」
好奇心旺盛な子どもたちは、口々に彼らが疑問に思ったことを、年老いたゴブリンの首長に問いかける。
これが学びの源泉になるのだ。
「それはな……」
シーッ…と口元に人差し指の指先を当てて、子どもたちに向けて『骨ピ』は『ウィンク』をした。
……この仕草は『楽しい秘密』を意味するものであることは、孫娘はじめ洞窟のゴブリンの子らは、今はみんな“常識”として知っているのだった。
『洞窟のゴブリン〜骨ピとウンラロ、あと魔女〜』
了
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読んで頂き有難うございました!
この他にも、
『透明探偵物語』
というものも書きましたので、
宜しければそちらの方も、
よろしくお願いします!
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